転職市場は年々活発になり、オンライン選考やカジュアル面談など、企業と求職者が出会う機会は増えています。
にもかかわらず、「なぜか転職活動が長引いてしまう……」という相談は後を絶ちません。
意外に思われるかもしれませんが、転職活動が長期化する原因は、必ずしもスキル不足だけではありません。
むしろ多くのケースで影響しているのは、本人が無自覚に持っている“思考のクセ”です。
この記事では、転職活動を長引かせる代表的な思考パターンと、その改善策を分かりやすく解説します。
自分に当てはまる部分がないか、チェックしながら読み進めてみてください。
パターン① 完璧な職場を探す「理想追求型」

特徴
理想追求型の人は、求人票を細部まで読み込み、ひとつでも気になる点があると応募を見送る傾向があります。
「もう少し給与が高ければ…」「残業時間が完全にゼロじゃないと…」など、理想を積み上げていくうちに、応募できる求人が極端に少なくなってしまうケースも珍しくありません。
また、内定を獲得しても「もっと良い会社があるかもしれない」と辞退してしまい、結果として転職期間が伸びてしまう人もいます。
問題点
この思考パターンの問題は、選択肢を狭めすぎる点にあります。
市場には完璧な環境など存在せず、どの企業にも“良い面”と“課題”があります。
優先順位をつけずに「全部叶えよう」とすると、応募数が足りず、選考経験も蓄積されません。
その結果、転職活動が長く続く原因となります。
改善策
まず取り組みたいのは、条件を「絶対条件」と「できれば条件」に分けることです。
給与・勤務地・働き方など最低限譲れない点を明確にし、それ以外は柔軟に考えるのがポイントです。
さらに、求人検索の段階では“7割マッチ”を合格ラインに設定しましょう。
完全一致ではなくても、自分が活躍できそうであれば応募してみる。
これだけで選択肢は一気に広がり、結果も出やすくなります。
パターン② 自分の強みが曖昧な「自己理解不足型」

◆特徴
自己理解が浅い人は、職務経歴書や面接で一貫したメッセージを伝えられません。
自分が何を得意としていて、どんな場面で成果を出してきたのかが言語化されていないため、企業側に「この人は何ができるのか」が伝わりにくいのです。
また、応募する職種が広すぎたり、書類がどの企業にも刺さらない“平均的な内容”になることも多いです。
◆問題点
採用側からすると、自己理解が弱い応募者は“評価しづらい人”になります。
実力が十分にあっても、それがうまく伝えられずに書類で落ちたり、面接で話がぼやけてしまい、結果的に選考の通過率が低くなりがちです。
◆改善策
まずは過去の経験を「数字 × 行動 × 再現性」で整理しましょう。
たとえば「営業で成果を出した」ではなく、「担当顧客数〇社に対し、〇ヶ月で売上△%アップを達成した。そのために行った工夫は〜」というように具体化します。
また、応募職種ごとに職務経歴書を微調整することも大切です。汎用的な職務経歴書は便利なようで、実は評価されにくいもの。
可能であれば、元同僚や上司、キャリア支援者に強みの棚卸しを手伝ってもらうと、客観的な視点が加わり精度が上がります。
※職種別の職務経歴書の作り方はこちらをご覧ください。
パターン③ 経験不足を過度に心配する「ネガティブ思考型」

◆特徴
「自分には経験が足りない」「年齢が高いから難しい」といった思い込みが強く、求人票を見て応募前に諦めてしまうタイプです。
一度不採用になると「やっぱり無理だ」と落ち込み、行動量が少なくなる傾向もあります。
選考でのネガティブな態度は企業にも伝わり、悪循環が続きがちです。
◆問題点
転職活動は、応募数と選考通過率が結果を大きく左右します。
自信喪失型の人は、そもそも応募数が不足しがちです。
数が少なければ当然、内定につながる確率も下がり、転職期間は長くなります。
◆改善策
まず意識したいのは、求人票の「必須要件」と「歓迎要件」を区別することです。
歓迎要件は“あれば嬉しい”レベルであり、満たしていないからといって応募できないわけではありません。
また、面接は“相性確認の場”であり、完璧な受け答えを求められているわけではありません。
応募数・通過率・面接評価などを記録し、転職活動のPDCAを回すことで、自信を取り戻しやすくなります。
パターン④ 「今の会社が嫌」だけで動く「軸無し転職型」

◆特徴
「今の職場が嫌だから」「人間関係が悪いから」という理由だけで動き始めるケースです。
もちろんネガティブな理由からの転職は珍しくなく、それ自体は決して悪いことではありません。
ただ、実際の選考での場面では、それのみでは説得力が弱くなります。
応募の軸が曖昧なため、志望動機が浅く、結果的に選考通過率が下がりがちです。
◆問題点
転職理由が整理できていないと、企業は「またすぐ辞めてしまうのでは」という不安を抱きます。
また、転職先でも同じような不満を抱えてしまう可能性があり、ミスマッチが起こりやすくなります。
◆改善策
まず取り組むべきは、「転職で解決したい問題」を具体的に言語化することです。
その問題は今の会社では改善できないのか? もし改善が難しいなら、次の企業ではどのような環境を求めるのか?
さらに、「次の会社でどう活躍したいのか」まで描くと、志望動機に深みが出ます。
パターン⑤ 複数企業を同時に進められない「同時進行が苦手型」

◆特徴
慎重な性格ゆえに、一社ずつ選考を進めてしまうタイプです。
ただし、この方法だと選考スピードが遅く、結果が出るまでに時間がかかります。
また、内定が出ても比較対象がないため、判断に迷い意思決定ができず、機会損失につながることもあります。
◆問題点
複数企業を同時に進めないと、どうしても転職期間が長くなりがちです。
また、面接日程がバラバラになり、最終的に一社だけが先に結果を出し、比較検討が難しいという状況が起こりがちです。
◆改善策
転職活動は、基本的に“3〜5社を同時に進める”のが理想です。
スプレッドシートや管理アプリを使い、応募日・面接日・選考状況を整理しておくと混乱を防げます。
また、進行スピードが早い企業には他社状況を伝えつつ調整を依頼することで、比較しやすいタイミングに結果を揃えることも可能です。
※応募管理のコツについてはこちらの記事をご覧ください
まとめ:思考のクセを直せば、転職活動は前に進む

転職活動が長引く理由は、スキルだけではありません。
多くの場合、無意識の“思考パターン”が行動に影響し、結果として転職期間を伸ばしてしまいます。
・理想を追い求めすぎてしまう
・自己理解が曖昧で伝わらない
・自信が持てず行動量が減る
・転職理由が言語化できていない
・同時進行が苦手
こうしたクセは、気づけば必ず改善できます。
そして、改善できた瞬間から転職活動は必ず前進します。
「なぜうまくいかないのか?」と悩んでいる人こそ、まずは自分の思考のパターンを見直すところから始めてみてください。
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