「管理職になりたいですか?」と聞かれて、即答できない人は多いのではないでしょうか。
かつては、出世や昇進はキャリアの成功を示す分かりやすい指標であり、多くのビジネスパーソンにとっての共通ゴールでした。
しかし今、その前提は大きく揺らいでいます。
パーソルキャリア株式会社が運営する転職サービス「doda」が行った調査によると、「出世したくない」「どちらかといえば出世したくない」と回答した人は58.5%。
半数以上のビジネスパーソンが、今の会社での出世を望んでいないという結果が出ています。
この数字は、「やる気がない人が増えた」という単純な話ではありません。
背景には、働き方や価値観、企業環境の大きな変化があります。
本記事では、データをもとに出世したくない人が増えている理由とその背景を整理しながら、これからの時代に合ったキャリアの考え方を探っていきます。
データで見る「出世したくない人」の現状

dodaの調査は、20〜59歳のビジネスパーソン15,000人(非管理職)を対象に行われました。
その結果、「出世したい」「どちらかといえば出世したい」と回答した人は32.9%にとどまり、「出世したくない」「どちらかといえば出世したくない」は58.5%と大きく上回りました。
注目すべきは、出世したくないという意識が一部の人の特殊な価値観ではなく、すでに多数派になりつつあるという点です。
かつての「昇進して当たり前」という空気は薄れ、出世を前提としないキャリア観が今や珍しいものではなくなったことが分かります。
年代別に見る「出世したくない理由」のリアル

出世したくない理由は、年代によって傾向が異なります。ここでは、各世代の特徴を見ていきましょう。
20代|上司としての責任を負いたくない(42.9%)
20代で最も多かった理由は、「上司としての責任を負いたくないから」(42.9%)でした。
部下の評価や育成、トラブル対応など、管理職の責任の重さを間近で見ているからこそ、慎重になる人が多いと考えられます。
自分がまだ未熟な状態で人を評価する立場になることに、違和感を覚える人も多いでしょう。
また、失敗が許されにくい風土や、SNS時代ならではの炎上リスクも、責任を負うことへの心理的ハードルを上げている要因かもしれません。
30代|リーダーシップやマネジメントへの苦手意識(38.4%)
30代では、「リーダーシップやマネジメントが苦手だから」(38.4%)が最多でした。
プレイヤーとして成果を出してきた人ほど、「自分は現場で手を動かしている方が輝ける」「人を管理する仕事は向いていない」と感じやすい傾向があります。
成果を出してきた結果として管理職を打診される一方で、求められる役割が大きく変わることに戸惑う世代とも言えるでしょう。
また、専門性を突き詰めたい「プロフェッショナル志向」の若手が増えていることも要因の一つと考えられます。
40代|高いプレッシャーやストレスに耐えられない(36.3%)
40代で最も多かったのは、「高いプレッシャーやストレスに耐えられないから」(36.3%)です。
上からの方針と下からの要望に挟まれる中間管理職の過酷さを見てきた世代だからこそ、精神的な負担を現実的に捉えています。
仕事以外でも親の介護や子供の教育など、プライベートでの責任が重なる時期でもあります。
これ以上の精神的負荷を抱えることに、現実的な拒否感が働くのは自然な流れと言えます。
50代|上司や管理職の仕事が魅力的に感じられない(32.9%)
50代では、「上司や管理職の仕事が魅力的に感じられないから」(32.9%)がトップでした。
責任や業務量に対して、報酬や裁量が見合っていない管理職像を長年見てきた結果とも言えるでしょう。
なぜ今、「管理職」は敬遠されるのか?|出世したくない背景

出世したくない人が増えている背景には、個人の価値観の変化だけでなく、組織や社会構造の変化があります。
理由① 「プレイングマネジャー」という名の重労働
現代の管理職の多くは、自分の目標数字を追いながらチームのマネジメントもこなす「プレイングマネジャー」です。
現場の仕事が減らないまま管理業務だけが上乗せされる姿は、部下の目には「憧れの対象」とは映りづらくなっています。
理由② リスクの多様化と「割に合わなさ」
ハラスメント対策やコンプライアンス遵守、メンタルヘルスへの配慮など、管理職に求められる「ケアの範囲」は以前より格段に広がりました。
一歩間違えれば法的・社会的な責任を問われかねないプレッシャーに対し、それに見合う昇給や権限が伴っていない「コストパフォーマンスの悪さ」が指摘されています。
理由③ 「出世=安定」の終焉
終身雇用や年功序列が崩れ、「出世=安定」ではなくなったことも大きな要因です。
一つの会社での地位を上げるよりも、どこでも通用する「ポータブルスキル」を磨く方がリスクヘッジになると考える人が増えています。
会社の中で昇進するよりも、スキルを磨いて市場価値を高める方が合理的だという判断が働いています。
また、仕事だけでなく、家庭や趣味、副業などを重視する価値観が広がったことも、「出世一択」という考え方を弱めています。
出世しない選択に対する不安と現実

一方で、出世しないことに不安を感じる人が多いのも事実です。
調査では、「収入面の待遇向上が見込めない」(37.8%)が最も多い不安として挙げられました。
また、「やる気がないと思われる」「成果を正当に評価されなくなる」といった声もあります。
あなた自身も、「昇進しなければ評価されないのでは」と感じたことはないでしょうか。
確かに従来の日本企業では「役職=給与」という紐付けが強固でした。しかし、この構造も変わりつつあります。
- スペシャリスト制度(専門職制度): 役職に就かなくても、高い技術や専門スキルがあれば管理職と同等、あるいはそれ以上の報酬を支払う仕組み。
- ジョブ型雇用の拡大: 「何ができるか」に報酬が支払われる仕組みへの移行。
- スキル評価の導入: 資格取得やスキルの習熟度を直接給与に反映させる仕組み。
このように、企業側も「管理職を目指さない優秀な層」を繋ぎ止めるために、評価制度のアップデートを急いでいます。
それでも「出世してよかった」と感じる人の共通点

一方で、実際に役職に就いている人たちの肯定的な意見も見てみましょう。 調査でよかった点として最も多かったのは、やはり「給与や報酬が増えた」(43.3%)でした。
しかし、それ以上に注目したいのは、以下のような「影響力の拡大」に関する項目です。
- 自分の意見やアイデアが反映されやすくなった
- 重要な意思決定に関与できるようになった
- ネットワーク(人脈)が広がった
プレイヤーの時には届かなかった声が、役職を得ることで組織を動かす力に変わる。
「自分が理想とするチームを作りたい」「より大きな視点でビジネスを動かしたい」と考える人にとって、出世は自己実現のための強力な手段であることに変わりはありません。
出世する・しないより大切なキャリアの考え方

これからの時代に大切なのは、「出世するか、しないか」という二択の正解を探すことではありません。
重要なのは、「自分のキャリアの主導権を自分が握ること(キャリアオーナーシップ)」です。
doda編集長の桜井氏も指摘するように、キャリアアップの定義は多様化しています。
- 管理職を目指す: 組織を動かし、大きなリソースを使って成果を出す。
- 専門性を磨く: 特定の分野で「誰にも負けないスキル」を持ち、市場価値を高める。
- ライフスタイル重視: 趣味、家庭、副業など、仕事以外の価値観とのバランスを最適化する。
どの道を選んでも、それが「自分で納得して選んだもの」であれば、それは立派なキャリアの成功です。
まとめ|「出世しない」は逃げではなく、主体的な選択

出世したくない人が増えているのは、時代の変化を反映した自然な流れです。
「出世しない」という選択は、決して後ろ向きな逃げではありません。
むしろ、自分自身の適性や守るべき生活を理解した上での、「主体的な生存戦略」と言えるでしょう。
大切なのは、周囲の価値観や世間の正解に流されるのではなく、自分が納得できるキャリアを選ぶことです。
出世するかしないかではなく、どんな人生を送りたいのか。
その問いに向き合うことが、これからのキャリア形成において何より重要なのではないでしょうか。
※本記事で引用しているデータは、パーソルキャリア株式会社が公表した「doda 出世に関する意識調査」をもとにしています。
https://www.persol-career.co.jp/newsroom/news/research/2025/20251222_2047/
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