中途採用市場では、優秀な人材ほど複数社から内定を獲得し、最終的に「どの会社を選ぶか」で辞退が生まれます。
「せっかく時間とコストをかけて最終面接まで進めた優秀な人材が、気づけば他社に…」「『やはり家族と相談した結果…』と辞退の連絡が来たときの落胆」
企業にとっては、時間もコストもかけた採用活動が無駄になるだけでなく、時に採用計画全体に影響を及ぼしてしまうこともある。
それが内定辞退というリスクです。
マイナビキャリアリサーチLab『中途採用状況調査 2025年版(2024年実績)』によると、内定者数平均と採用者数平均を用いて算出した2024年の内定辞退率は9.3%。
2023年とほぼ同水準で、1割近い候補者が辞退している計算になります。
「辞退をいかに防ぐか」は、採用活動の質そのものを左右するテーマといえるでしょう。
本記事では、そんな内定辞退を防止する対策について、紹介・解説していきます。
応募者が辞退する主な理由

内定辞退には、候補者側の都合だけでなく企業の採用プロセスや姿勢が大きく影響します。
典型的な要因を整理すると、以下のようになります。
・企業理解不足
「ホームページの情報だけでは、実際の部署の雰囲気や社員の働き方が見えない」
「入社後のキャリアパスがぼんやりしていて、将来のビジョンが描けない」
など、仕事内容やキャリアパスが見えず、入社後のイメージがわかない状態です。
・選考過程での不信感
「面接官が履歴書をちゃんと読んでいないと感じた」
「連絡が遅く、本当に選考が進んでいるのか不安になった」
など、連絡の遅さや漏れ、面接官が不誠実に感じるなどで面接体験が悪い場合です。
・他社の魅力に惹かれる
待遇・カルチャー・成長機会の点で比較され、他社を選ばれるパターンです。
単なる給与額の比較ではなく、福利厚生やリモートワーク制度、フレックスタイム制など、働き方の柔軟性で差をつけられるケースも増えてきています。
・内定承諾後の不安
「本当にこの会社で大丈夫か」という心理的不安を払拭できない場合です。
辞退防止を考えるとき、単に「待遇を良くする」だけでなく、実際の入社まで候補者の不安や疑問に丁寧に対応する姿勢が欠かせません。
辞退防止に効果的な具体策

対策1:採用プロセスでの工夫
・スピード感ある選考
返事を待たせすぎると他社に流れるリスクが増します。面接から合否通知までのリードタイムを短縮することは、内定辞退防止において非常に重要です。
「面接から24時間以内に合否を連絡する体制」
「最終面接後、即日内定を出すための社内承認フローの整備」
など改善できる点がないか確認してみましょう。
※実際、私が転職エージェントにいた頃も、即日内定を出せる企業は採用が上手くいってる会社が多かったです。
・候補者体験の向上
応募時の問い合わせ対応や面接後のフィードバックを丁寧に行うことで、候補者の「大切にされている感覚」を高めることができます。
対応コストは発生しますが、場合によっては、
「面接後、面接官から『本日はありがとうございました。〇〇さんの~というお話が印象的でした』といった個別のメッセージを送る」
「合否に関わらず、応募のお礼メールに面接のフィードバックを添える」
という施策は有効です。
・面接官の質を高める
面接する社員の態度や説明力は候補者の志望度に直結します。
「一緒に働きたい」と思われるような共感力のある対応が重要です。
対策2:情報提供の充実

・仕事内容・キャリアパスを具体的に提示
抽象的な説明や概要のみでは不安を解消することは難しいです。
実際の業務フローやキャリア事例を示すことで、候補者の会社理解を深めるとともに、入社後の不安を軽減できます。
・社員インタビューや現場見学
オウンドメディアに『一日密着!セールス担当のリアルな働き方』といった記事を掲載したり、「内定者向けに、実際のオフィスでランチ懇親会を開催する」など、会社のリアルな情報を発信することも有効です。
こういった情報発信では、仕事のやりがいだけでなく、『正直、ここは大変だった』といったリアルな側面も伝えることで、入社後のギャップを減らす工夫ができます。
・ネガティブ情報も共有
「忙しい時期はある」「求められるレベルは高い」といった点も率直に伝えることで、入社後のギャップを減らし、内定辞退のみならず、入社後の短期離職リスクを減らせる場合があります。
対策3:内定後フォロー
・定期的な連絡
内定から入社までの間にほぼ連絡がないと、内定者が「放置されている」と感じてしまい、不安が募る場合があります。
定期的にメールや電話でコミュニケーションを図り、「気にかけている」ことを伝えることで、不必要な不安を生じさせないようにしましょう。
・懇親会やオンライン交流
Slackなどで、内定者専用のチャットチャンネルを開設し、入社までのQ&Aや先輩社員との交流を促すなど、内定者同士や先輩社員とつながれる場をつくることで、心理的な帰属意識や心理的安全性を高めることができます。
・不安解消の場を設ける
場合によっては、入社前でもキャリア相談や1on1面談を設け、「悩みを話せる」状態を維持することも大切です。
人事担当者だけでなく、配属予定の部署の先輩社員を面談にアサインするなど、状況にあわせて場を設けてみましょう。
経営・人事の姿勢

・「選ばれる立場」という意識
企業が候補者を選ぶだけでなく、候補者からも選ばれているという認識を持つことは非常に大切です。
・キャリア尊重のスタンス
採用の目的の一つは「人を確保すること」でありますが、ベースに、自社への入社が「候補者のキャリアにとっても良い選択肢となる」という姿勢は重要です。
その姿勢が辞退防止にもつながります。
・候補者満足度をKPIに
面接通過率や内定承諾率だけでなく、「候補者アンケート」などを取り入れて面接体験の満足度の改善を図るというのも有効です。
まとめ

内定辞退率は全国的に9.3%(マイナビ調査 2024年実績)という水準で推移しています。
辞退を防ぐには、「辞退させない」発想ではなく、「応募者に選ばれる会社になる」発想が欠かせません。
・スピード感ある選考
・透明性の高い情報提供
・内定後の丁寧なフォロー
・候補者を尊重する姿勢
これらを実行することで、候補者は「この会社なら安心して入社できる」という気持ちを持てるようになります。
採用は単なる人材確保ではなく、企業のブランドを候補者に伝えるマーケティング活動でもあります。
辞退防止を意識した採用活動は、結果として応募者の信頼を集め、選ばれる企業へと成長する第一歩となるでしょう。
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