退職時によくあるトラブルケースとその回避策~有休消化・退職日編~

退職

色々と悩んだ末にいざ退職!

という場面で様々なトラブルに見舞われることがあります。

本記事では、そんな退職時のトラブルの内、有休消化と退職日に関連したよくあるトラブルと、その対応策・回避策をご紹介します。

ケース1:退職を申し出たのに有給休暇を取らせてもらえない~「全部使いたいのに…」どう対処?

退職と有休におけるトラブルの内、最も多いトラブルだと思います。

※ちなみに有給休暇の略称は、「有休」でも「有給」でも正解です。そのため、企業とやり取りする際も、有休消化と有給消化、どちらの表記でも構いません。

有給休暇は余っているのに、退職にあたって最後に全部消化しようと思ったら、会社側が認めてくれないというケースです。

残っている有給休暇の一部しか消化を認めてくれないケースもありますし、そもそも辞めるなら全部認めませんというケースもあります。

なぜ会社側は有休消化を認めたがらないのか

会社側が有休消化を認めたがらないケースはいくつかあります。

よくある理由は下記などです。

・人手が足りていない
退職時期と繁忙期が重なるなどして、シンプルに人手が足りていないという場合です。

・単なるコストとして感じてしまっている
本来、有給休暇の目的は、きちんと休んでもらうことで従業員に心身ともに回復してもらい、生産性を上げたり、会社への定着を図ることです。

しかし、もう辞めることが確定している従業員の有休に関しては、この目的を果たせず、有休中の賃金支払いを単なる負担(コスト)として見てしまっている場合です。

・前例を作りたくない
あの人が全日有休消化して辞められたのなら、自分も全日消化して辞めれそうだ…と続く前例になることを避けたい、という背景がある場合もあります。

対応策・回避策

では、どうすれば、この事態を防ぐことができるでしょうか?

回避策1:余裕をもったスケジュールで退職を伝える

最も王道の対策です。

退職における多くのトラブル回避につかえ、まずは押さえるべき対策の一つです。

最低でも1カ月、できればそれ以上の余裕をもって、企業に退職を伝えましょう。

意外と勘違いしやすいのですが、有給休暇は勤務日でしか取得できません。

本来仕事をするはずだった日に休むことでリフレッシュすることが目的の制度のため、最後辞めるからと言って普段休日のところに有休を適用することは原則不可です。

※会社側との交渉で調整できる可能性はあります。

例)
有給休暇の残りが10日間。2025年10月1日(水)から転職先に入社するため、退職日を2025年9月30日(火)にしたい場合
→有給休暇は勤務日に取得する必要があるため、仮に平日勤務で土日祝休みであれば、

※スマートフォンなら画像をタップ、PCならクリックすると拡大します。

9/16(火)~9/19(金)、9/22(月)、9/24(水)~9/26(金)、9/29(月)~9/30(火)の、計10日間で有休を取得します。※土日祝は有休適用外

そのため、最終勤務日は9/12(金)となります。

最後に有休消化をしようとしたら、イメージより早く最終勤務日がきてしまい、現場が回らなくなってしまうというケースを防ぐためにも、余裕をもって企業側にはスケジュールを伝えましょう。

回避策2:会社側へ「有給取得希望日の変更は原則できない」ことを説明する

有給休暇に関しては、労働基準法第39条にて様々なルールが定められています。

重要なポイントとしては、

基本的に有給休暇を企業は断れない

という点です。

従業員が有給休暇を申請した際に、会社がその取得タイミングを変更できる権利を「時季変更権」といい、会社側は、この時季変更権を持っています。

しかし、この権利を使うには事業運営が正常にできないような場合に限り、単に「人手不足や繁忙期だから」という理由では認められないことが一般的です。

参考:厚生労働省「年次有給休暇の付与日数は決まっています」リーフレット

もし会社側が、有給休暇の消化を認めない場合は、その具体的な理由を確認し、必要に応じてこちらからも説明することで解決する場合があります。

注意点としては、「法律ではこうなっているんですよ!」と法的根拠を盾にして強く出るのではなく、「厚労省のガイドラインも確認してみたのですが、こうなっているようで…」と、あくまで冷静に穏便に話を進めましょう。

※万が一、退職条件でもめそうな際は、まずはお住まいの地域の「労働基準監督署」や「労働相談窓口」で無料相談をしてみることをオススメします。

回避策3:余った有休を買い取ってもらう

少しトリッキーな対策ですが、最後まで勤務する代わりに、余った有休を企業に買い取ってもらうという方法もあります。

原則として、企業が有給休暇を買い取ることは法律で禁止されています。

従業員に休むことで心身を回復してもらうという制度の趣旨に反するからです。

しかし、例外的に買い取っても適法になるケースがあります。

その一つが、退職時の有給休暇の買取です。

ただ、違法でないだけで、企業側に買取の義務が課せられているわけではありません。

そのため、企業に交渉をしていく必要がありますので、事前に会社の就業規則における有給休暇の記載などをよく確認しつつ、進めていく形となります。

少し細かい話ですが、有給休暇の賃金分における社会保険料は、会社側も負担の必要がありますが、買い取りとなれば負担はなしです。会社側にもメリットがありますので、状況によっては応じてくれる可能性があります。

また、この方法は、余った有給休暇分のお金はもらえますが、退職日まで勤務はする形になりますので、お金より休みが欲しい!という場合は適していません。

ケース2:有給休暇中に出社を求められる~「え、休みなのに対応?」を防ぐには

「急なトラブルに対応してほしい…」

などの理由で有給休暇を消化中に出社や対応を求められるパターンです。

せっかく次に向けてゆっくり休んでいたのに…と思ってしまうケースですね。

対応策・回避策

まず、原則として有休中の労働義務はありません。

従業員側は、有給取得中の勤務要請に関しては拒否できる権利があります。

とは言いつつも、そもそもそういった事態にならないように対策も講じておきましょう。

回避策1:会社に退職を伝える際に明示しておく

言った言わないを防ぐために、退職を会社側に伝える際、

・〇月〇日~〇月〇日は有休取得
・有休取得中は業務対応は不可

などを明示し、メールや書面で記録を残しておきましょう。

事前に明確に伝えておくことで、企業側にも「この期間になったら〇〇さんは業務対応できなくなるからきちんと準備しておこう」という意識が働き、本当に不測のトラブル以外は、回避できる可能性が高まります。

回避策2:周囲にも退職スケジュールを共有する

回避策1と近いですが、自身の仕事に関係のあるメンバーにも、退職スケジュールをメールやチャットで共有しておきましょう。

会社への明示と同様に、突発的なトラブル以外は、急な対応要請を防げる可能性が高まります。

回避策3:引継ぎはできる限り万全に

できる限り万全という日本語は変ですが、お互いのために、引継ぎは丁寧に細かく、自身が有休取得中であっても現場に影響がでないように、整えておくのはやはり大切です。

引継書なども周囲に共有しておき、事前に不明点の確認、想定されるトラブルがないかなど、準備を進めておきましょう。

本当に不測の事態が発生したら?

準備は万全でも、どうしても予期できない事態が起こる可能性はゼロではありません。

その際に対応するかどうかは、あなたと会社の関係値にもよります。

念のため、対応する場合に備えて、

もし有休取得中にやむにやまれぬ業務対応が発生した場合は、

・業務対応分は有休を取り消し、勤務扱いとして給与・時間外手当の支給をする
・取り消した有休分は別日に適用するか、適用できない場合は会社が買い取る

などを事前に取り決めておくと、より安心です。

ケース3:退職日をずらされる

「引き継ぎが終わっていないから」「人事の都合上、月末退職にしてほしい」などの理由で、希望よりも退職日を後ろ倒しにしようとするケースです。

回避策:そもそも退職日の交渉は不要

多くの場合、企業との退職日の交渉はそもそも必要ありません。

正社員のような期間の定めのない雇用契約の場合:
労働者はいつでも退職を申し出ることができ、申し出から2週間後に雇用関係が終了となる
(関連:民法第627条)

有期労働契約の場合:
契約の初日から1年経過した日以降は、いつでも退職できる
(関連:労働基準法第137条)

とされています。

これは従業員が会社に「〇月〇日で退職いたします」と通知すれば確定するもので、交渉を経る必要はないとされています。

書面やメールなど記録に残る形で、明示的に退職日を通知しておきましょう。

まとめ:どのパターンでも大事なことは…

以上、本記事ではよくある退職時のトラブルケース、なかでも有休消化と退職日に関するケースをみてきました。

ケースごとに細かい回避策はありつつ、いずれの場合も共通して大事なことは下記です。

・最低でも1カ月前など余裕をもって会社に退職を伝える
・書面やメールという記録に残る形で明示しておく

そして、万が一退職条件で会社と揉めそうになった場合は、お住まいの地域の「労働基準監督署」や「労働相談窓口」で無料相談をしてみて、必要であれば専門家にも頼ることをオススメします。

事前に準備をきちんとしておくこと、力強く次のステップを踏み出していきましょう!

※※※

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