家族に退職を伝えるときの注意点と伝え方

退職の意思を固めたとき、よくある悩みの一つが、「家族にどう伝えるか」ではないでしょうか。

人によっては、職場に伝えることよりも緊張する、という声も少なくありません。

なぜなら、家族は日々の生活や将来設計に直結する存在だからです。

「反対されたらどうしよう、心配をかけたくない」
「新しい仕事への期待感とは裏腹に、家に帰ると『どう切り出そうか』とモヤモヤする」
「『どうして辞めるの？』『次の仕事は？』と矢継ぎ早に質問されたらどうしよう、とシミュレーションばかりしてしまう」

そんな気持ちから、退職の話題を切り出せずに悩む人は多いものです。

この記事では、家族に退職を伝えるときの注意点や、具体的な伝え方の工夫を解説します。

家族に退職を伝えるのが難しい理由

退職は本人にとって前向きな決断でも、家族にとっては不安の種になりがちです。

その理由を整理しておきましょう。

・生活への影響が大きいから
特にパートナーや子どもがいる場合、収入やライフスタイルに直接影響します。

・親世代は「安定志向」が強い
「辞めるなんてもったいない」「続けた方がいい」といった価値観を持つケースが多く、反対されやすい傾向があります。

・急な変化に警戒する心理
家族にとっても退職は予想外のニュース。準備不足な状態で伝えると「大丈夫なの？」と不安が増幅されます。

つまり、家族の反応は「愛情からくる心配」であることが多いのです。

反対や不安の声が出るのは自然なことで、悪意ではありません。

退職を伝える前に準備すべきこと

家族に退職を伝えるとき、最も大切なのは「準備」です。

自分の気持ちや今後の見通しが整理できていないと、相手の不安を解消できません。

理由を前向きに整理する

「上司と合わないから辞める」といったネガティブな理由だけでは、家族に理解してもらいにくいものです。

「新しい分野に挑戦したい」
「長期的なキャリアを考えたときに必要なステップ」

など、前向きに言語化しておきましょう。

さらにできれば、具体的な形で伝えられると説得感が増します。

例）
・AI関連のスキルを身につけたくて、専門性が高い会社に挑戦したい」
・「これまで培ったマーケティングの経験を、より社会貢献性の高い分野で活かしたい」

将来の見通しを持つ

退職後どうするのか、ある程度「計画性」を伝えられるかどうかも、家族の理解を得るには重要です。

・すでに転職先が決まっているのか
・転職活動中なのか
・一定期間休養する予定なのか

立場に応じた計画を持ち、できるだけ具体的に伝えられるように準備しておきます。

転職活動中であれば、「どんなスケジュール感で進めているか」 や、「転職エージェントを利用しているか」 など、アクションの進捗もあわせて伝えられるとより良いです。

生活面の計画を考える

退職に伴う収入減をどう補うかも大切です。

貯蓄の活用、失業給付、配偶者の収入など、現実的なプランを考えておくことで安心感につながります。

事前相談で家族が心の準備をする時間を作る

これは場合によりますが、いきなり退職を切り出すのではなく、退職の意向を固める前段階で、家族に事前に相談をしておくのも、時には有効です。

「今の仕事、今後のキャリアを考えるとちょっと迷ってて…どう思う？」

など、少しずつ話をしておきます。

悩んでいることを共有することで、家族も一緒に考えてくれる時間ができ、家族としても退職への心の準備ができる場合があります。

家族に伝えるときの注意点

準備が整ったら、次は「どのように伝えるか」がポイントです。

タイミングを選ぶ

慌ただしい時間帯や喧嘩の直後は避けましょう。

休日の夜や食事のあとなど、落ち着いた環境を選ぶことが大切です。

感情的にならず丁寧に説明する

「辞めたいから辞める」など、突き放すような言い方は基本的にNGです。

経緯や理由を落ち着いて説明し、相手の理解を得る姿勢が必要です。

対話を意識する

「相談」ではなく、一方的な「報告」だけで終わってしまうと、家族としては置き去りにされた気持ちになってしまうことがあります。

家族からの意見も聞く姿勢を示すことで、協力を得やすくなります。

生活面への配慮を伝える

「収入は減るかもしれないけど、○○で補う予定だよ」といった一言を添えるだけで、安心感は大きく変わります。

必要に応じて、「家計の見直し」や「一時的な支出の調整」など、具体的な行動プランを例示することも大切です。

具体的な伝え方の工夫

家族構成によって伝え方を工夫すると、よりスムーズに理解を得られます。

パートナーに伝える場合

共働きか片働きかによって影響は異なります。

特に一家の収入を担う場合は慎重に伝える必要があります。

「自分のキャリア」だけでなく「家族全体のライフプラン」として話し合う姿勢が大切です。

親に伝える場合

親世代は「安定した仕事を続けること」が美徳とされる傾向があります。

反対されても感情的に反論せず、「次の仕事でこんな挑戦をしたい」「収入の見通しはこうだ」と展望を具体的に示しましょう。

子どもに伝える場合

自分たちが思っている以上に、子供たちは家庭の変化を敏感に感じ取ります。

「お父さん（お母さん）は新しい仕事に挑戦するんだよ」と、前向きなメッセージとして伝えると安心につながります。

反対や心配を受けたときの対処法

どんなに準備しても、反対や心配の声は避けられないことがあります。

そのときの対応が大切です。

否定されたら一旦受け止める

「絶対にやめるべきじゃない！」と言われたときに即反論すると、話がこじれる場合が多いです。

まずは「心配してくれてありがとう」や「そうだよね、急なことで驚かせてごめんね」と、一旦受け止めると、対話の土台ができやすいです。

不安を具体的に解消する

「収入はどうするの？」と聞かれたら、失業給付や貯蓄の計画などを具体的に説明しましょう。

また、「キャリアに傷がつくんじゃない？」と聞かれたら、次の仕事やスキルアップの展望を示すことが重要です。

ちょっと面接のようですが、数字や事実を交えて、ロジカルに説明するのが効果的です。

味方をつくる

まずは理解してくれそうなパートナーや兄弟姉妹に話し、順に味方を増やす方法もあります。

全面的な賛成を得るのは難しくても、部分的な理解者がいるだけで安心感が違います。

家族が退職を理解してくれた後の「お礼」

ここまで退職を伝えるまでのポイントを見てきましたが、退職を伝えて、家族が理解してくれた後の行動も非常に大切です。

円満な退職を実現するためには、家族のサポートが不可欠です。

理解してくれた家族へ、感謝の気持ちをきちんと伝えることで、退職・転職後も、お互いに良い関係を保ちやすくなります。

例）
・「応援してくれてありがとう」と直接言葉で伝える。
・退職後に転職が成功したら、家族と一緒に食事に出かけるなど、感謝の気持ちを形にする。
・退職後の新しい生活で、家事や育児の分担を見直すなど、家族に協力する姿勢を示す。

まとめ

家族に退職を伝えるのは、多くの人がつまずきやすい難しいステップです。

しかし、「前向きな理由」「将来の見通し」「生活の計画」を整理し、落ち着いたタイミングで丁寧に伝えることで、家族は理解しやすくなります。

反対や心配の声は、多くは愛情から生まれるものです。

その声を受け止め、具体的な情報で安心感を与えれば、やがて応援してくれる存在になる可能性も高まります。

退職はゴールではなく、新しいスタートの第一歩。

家族と一緒にその一歩を踏み出すために、伝え方を工夫してみてください。

「とはいえ、やはり不安…」そう感じたら、プロの力を借りてみませんか？

「自分の状況だとどんな点に気を付ければいいのか知りたい…」 「プロに具体的にアドバイスしてもらいたい…」

というご不安をお持ちの場合は、ぜひキャリアの専門家への相談も検討してみてください。

ストローラー株式会社では、1,000名以上のキャリア支援実績をもとに、ご自身での退職を支援するサービスをはじめ、様々なキャリア支援のサポートをご提供しています。

▶退職を家族や会社に伝えるための事前ロールプレイの実施
▶個別の状況に応じた退職時のポイントをチェック
▶退職トラブル発生時のサポート

ご自身の新しいキャリアを築くために、一歩踏み出すあなたを、私たちプロが全力でサポートいたします。
→ 退職支援サービスの詳細は下記よりご確認ください
※ご相談は無料です。