「辞めグセがついてる」と感じる人のキャリア整理法

「またすぐ辞めてしまった…自分には“辞めグセ”があるのでは？」

 そんなふうに悩んだことはありませんか。

転職が当たり前になりつつあるとはいえ、短期間での退職や転職を繰り返すと「根気がない」「またすぐ辞めるのでは」と周囲から見られやすいものです。

その一方で、本人も「続けられない自分」を責めてしまいがちです。

しかし本当に「辞めること＝悪いこと」なのでしょうか。

実は、辞めた経験を振り返ることは、自分のキャリアを整理する大きなヒントになります。

この記事では「辞めグセがついている」と感じる人に向けて、キャリアを客観的に整理し、前向きに活かす方法を紹介します。

なぜ「辞めグセ」に悩むのか

「辞めグセ」という言葉が使われる背景には、いくつかの要因があります。

まず社会的なレッテルです。

日本の採用慣習では「一社で長く働くこと」がいまだに評価されやすく、短期間での退職はマイナス要素と見られがちです。

面接の場でも「なぜすぐ辞めたのか」を必ず問われるため、「転職回数が多い＝忍耐力がない」という印象を持たれやすいのです。

次に、本人自身の罪悪感です。

「また続けられなかった」「周囲の期待を裏切ってしまった」と自分を責め、結果的に「辞めグセ」という自己評価に結びついてしまいます。

しかし実際には、辞める理由の多くは「自分の問題」だけではありません。

・上司や同僚との関係が劣悪だった
・業務内容が入社前と違った
・生活や健康に影響が出た
・将来のキャリアと結びつかない仕事だった

こうした環境要因やミスマッチは珍しくありません。

つまり「辞めた＝自分が弱い」とは限らず、働く場を探す過程での必然的な選択でもあるのです。

この点を認識することが、まず「自分を責める思考」から抜け出す第一歩となります。

 「辞めた理由」を客観的に整理する

「辞めグセ」に悩む人がまず取り組むべきなのは、辞めた理由を整理することです。

過去の職場を一つひとつ振り返り、なぜ辞めたのかを書き出してみましょう。

理由をカテゴリーごとに分けると見えやすくなります。

・人間関係
上司との相性が悪い、ハラスメント など
・仕事内容
やりたい仕事と違う、スキルが活かせない など
・待遇・働き方
給与が低い、残業が多い、休日が取れない など
・キャリアの方向性
成長が見込めない、自分の目標に合わない など
・健康・生活
体力的に続けられない、家庭の事情 など

次に、それが「仕方のない外部要因」だったのか、「自分の選択パターン」が影響していたのかを分けてみます。

この作業が、今後の転職活動の精度を上げる助けになります。

例えば、 

・「仕事内容が思っていたのと違った」
これが何度も出てくるなら、入社前の情報収集や確認が不十分だった可能性があります。

これは、自分の情報収集の甘さという「選択パターン」です。

・「人間関係が悪かった」
この理由でも、「一方的なハラスメントを受けた」のであれば外部要因ですが、「自分の意見をうまく伝えられず孤立しがちだった」のであれば、コミュニケーションの取り方という「選択パターン」が影響しているかもしれません。

・「体調を崩した」
これは、勤務時間や会社の体制など外部要因が大きいかもしれません。

しかし、「仕事のストレスを自分ひとりで抱え込みがち」という自分の行動パターンも影響していないか、という視点も重要です。

こうして振り返ると、辞めた理由の共通点や、自分が大事にしている価値観も浮かび上がりやすくなります。

これは「自分のキャリアの軸」を見つける第一歩になります。

「辞めグセ」をキャリアの材料に変える

「短期間で辞めてしまった」という経験も、見方を変えれば立派なキャリアの材料です。

例えば、

・短期間で新しい業務や組織に適応できた
→ 柔軟性がある

・さまざまな職場で人と関わった
→ 多様な文化に対応できる

・辞めた理由を通じて「譲れない条件」が明確になった
→ 自己理解が深まった

このように整理すれば、採用面接で「なぜ辞めたのか」と聞かれたときにも、単なる“失敗談”ではなく「学びの過程」として語れます。

採用担当者が知りたいのは「なぜ辞めたか」の理由そのものよりも、「辞めた経験から何を学び、それを次の職場でどう活かそうと考えているか」という点です。

例えば、仕事内容が合わなかった場合でも、

「入社後に業務が想定と違い、結果的に短期間で辞めましたが、その経験を通じて『自分が本当に関わりたい分野』が明確になりました。」

と表現すれば、前向きに受け取られます。

大切なのは「続けられなかった事実」ではなく「辞めて得たことをどう説明するか」です。

今後のキャリアを安定させるための実践法

辞めグセを乗り越えたいと感じるなら、次の転職やキャリア選択の前に以下を試してみましょう。

①転職理由を数値化・言語化する

「人間関係がつらい」という抽象的な理由を、「週5日残業が続き、上司に相談できなかった」と具体的に書き出します。

給与や休日など数値で表せる条件も整理すると、次の職場選びで失敗しにくくなります。

②転職以外の選択肢も考える

辞める前に社内異動を打診する、副業でやりたいことを試すなど、「退職」以外の道を検討するのも有効です。

これだけで「また辞めてしまう」流れを断ち切れる場合があります。

特に「やりたいことがわからない」という理由で転職を繰り返している人は、独学や副業などで興味のある分野に触れてみるのがおすすめです。

③ 「働き方の軸」を3つに絞る

キャリアの軸をあれもこれもと求めると、結局どの職場も合わなくなります。

「裁量がある」「専門スキルを磨ける」「人間関係がフラット」など、自分にとって欠かせない3つに絞り込みましょう。

大事なのは3つという数字ではありません。重要なのは、条件の優先順位を明確にすることです。

軸から外れる求人は最初から選ばないと決めることで、辞めるリスクは大きく下がります。

④プロのキャリア相談を活用する

一人で考えると「また失敗するかも」という不安に偏りがちです。

キャリアカウンセラーや転職エージェントに相談することで、客観的な整理や新しい視点が得られます。

特に、過去の転職経験をどのように面接で語るべきか、プロの視点からアドバイスをもらうことで、自信を持って選考に臨めるようになります。

まとめ

「辞めグセ」という言葉はネガティブに聞こえますが、裏を返せば「働き方を模索してきた人」であるとも言えます。

大切なのは、辞めた回数ではなく、そこから何を学び、どう次に活かすかです。

過去の職場を振り返って理由を整理し、自分のキャリアの軸を明確にすれば、「辞めグセ」は前向きなキャリアストーリーに変わります。

あなたの歩んできた道は、決して無駄ではありません。

辞めた経験も含めて自分のキャリアを肯定的に整理し、次の一歩に活かしていきましょう。

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