「やりたいことが分からない」
キャリア相談を受けていると、必ずといっていいほど出てくる悩みです。
就活のときも、転職活動のときも、あるいは日々の仕事に追われている中でも、「自分は本当は何がしたいのだろう?」と立ち止まってしまう瞬間があります。
SNSや本では「好きなことを仕事にしよう」「情熱を持って取り組める分野を探そう」とよく言われますが、実際にはそんなに簡単には見つからないのが現実です。
多くの人が、「そもそも好きなことって何?」「やりたいことなんて特に思いつかない」と悩んでしまいます。
結論から言えば、やりたいことは突然ひらめくものではなく、少しずつ行動していくなかで輪郭が見えてくるものです。
本記事では、「やりたいことが見つからない」と感じるときに、最初の一歩として試してほしい3つのステップを紹介します。
ステップ1:自己棚卸しをして「過去の快・不快」を整理する

「やりたいことを見つけよう」と思うと、多くの人は「未来」を考えがちです。
将来どんな仕事がしたいか、何をして生きていきたいか…
しかし、いきなり未来を想像しようとしても、なかなか答えは出ません。
ヒントはむしろ「過去」にあります。
これまでの経験を振り返ることで、自分にとって心地よいことや苦手なことの傾向が見えてきます。
それを整理することが、やりたいことの手がかりになります。
具体的には、次のように書き出してみてください。
・やっていて楽しかったこと/やりがいを感じたこと
例:人前で発表したとき、数字を分析して成果が出たとき、後輩に感謝されたとき
・二度とやりたくないと思ったこと
例:単調な作業が延々と続いたとき、成果が評価されなかったとき、顧客対応で消耗したとき
ここで重要なのは、「仕事内容」だけに注目しないことです。
人によっては「同僚と協力して成果を出したこと」がやりがいの記憶になっているかもしれませんし、「ルールが厳しすぎる環境」が不快の原因だったかもしれません。

「仕事内容」「人間関係」「働き方・環境」の3つに分けて棚卸しをすると、自分の価値観がより鮮明になります。
・仕事内容(What to do)
具体的な業務内容そのものに焦点を当てます。
以下のようなことを自身に問いかけてみましょう。
「時間を忘れるほど没頭した作業は?」
「『これは得意だ』と思えるような周りから褒められたことは?」
・人間関係・関わり方(Who with)
誰と、どのような関係性で働くことが心地よかったかに焦点を当てます。
以下のようなことを自身に問いかけてみましょう。
「誰かのサポート役として感謝された瞬間は?」
「リーダーシップを発揮してチームを引っ張った瞬間は?」
「尊敬できる上司との出会いから得たものは?」
・働き方・環境(How to work)
働く場所やペース、会社のルールや文化に焦点を当てます。
以下のようなことを自身に問いかけてみましょう。
「裁量の大きさと安定、どちらが自分にとって重要?」
「在宅勤務やフレックスなど、働き方の自由度が高い環境で感じたメリット・デメリットは?」
この作業を通して、
「あ、自分は誰かに感謝される瞬間に喜びを感じるんだな」
「どうやら裁量がない環境は苦手らしい」
といった気づきが出てくるでしょう。
これが次のステップにつながります。
ステップ2:とりあえず小さく試してみる

自己棚卸しをして「方向性」が少し見えたら、次は実際に動いてみることが大切です。
頭の中でいくら考えても、やりたいことは見えてきません。
いきなりがっつりやるのも良いですが、迷いがある状態であれば、まずは試せるところから小さく動いてみるのがおススメです。
新しい商品を開発するときも、いきなり完成品をつくるのではなく、試作品をつくって検証を重ねると思いますが、それに近しい考え方です。
たとえば、次のような行動が考えられます。
・興味がある分野のセミナーやイベントに参加してみる
・副業やボランティアで、少しだけ体験してみる
・オンライン講座や資格の勉強を始めてみる
・SNSやブログで情報発信をしてみる
大切なのは、「これがやりたいことかどうか」を最初からジャッジしないことです。
実際にやってみると、「思っていたより楽しい」「逆に自分には合わない」という感覚が得られます。
その感覚こそが、やりたいことを探す大事な材料になります。
そして、もう1点大事な視点が、「違う」と分かることも立派な成果ということです。
実際に試してみて、「あれ、思っていたのと違う」「これは自分には合わないな」と感じるのは失敗ではありません。それは大きな収穫です。
むしろ行動しなければ、その「違う」という気づきさえ得られません。
小さな一歩を積み重ねることで、徐々に自分の進みたい方向が明らかになっていきます。
ステップ3:信頼できる人に「語ってみる」

自己棚卸しと小さな行動を重ねると、頭の中にモヤモヤしたアイデアや感覚が生まれてきます。
しかし、そのまま自分の中に留めておくと、堂々巡りに陥りやすいものです。
ここで役立つのが「人に語る」こと。
不思議なもので、相手からなにか明確な答えや解決策が返ってこなくとも、誰かに自分の考えを話すことで、思考が言語化され整理されていくことがあります。
いわゆる壁打ちという方法です。
さらに、相手からのフィードバックによって、自分では気づけなかった視点を得られることもあります。
ただし、誰に話すかによって得られる視点が変わります。
そのため、相手を使い分けることで、より多角的に自分の考えを整理できます。
たとえば、
・信頼できる友人・パートナー
あなたの人となりや価値観をよく知っているため、感情的な側面や「あなたらしさ」に対するフィードバックが得やすい。
・職場の先輩・同僚
仕事の具体的な内容や業界の視点に長けているため、あなたのアイデアの実現可能性や課題点といった現実的なフィードバックが得やすい。
・プロのキャリアカウンセラーやコーチ
客観的で構造化された質問を通じて、自分では気づけない思考の盲点を明らかにし、思考の言語化を徹底的にサポートしてくれます。
もちろん、相手の意見をそのまま鵜呑みにする必要はありません。
大切なのは、対話の中で「自分が本当に大事にしていること」に気づくことです。
話してみると、「自分は安定より挑戦に惹かれているな」「人と関わることに価値を置いているな」など、自分の軸が浮かび上がってきます。
これは一人で考えているだけでは得られない大きな発見です。
なぜ「やりたいこと」は簡単には見つからないのか?

最後に、一つ覚えておいてほしいキャリアに関する考え方があります。
現代において「やりたいこと」が見つからないのは、あなたが悪いわけではありません。
終身雇用が当たり前だった時代と異なり、仕事やキャリアの選択肢は爆発的に増えました。
その「選択肢の多さ」こそが、迷いの根本的な原因の一つです。
また、「やりたいこと=たった一つの天職」という誤解も、多くの人を苦しめています。
キャリア論では、「Will(やりたいこと)」「Can(できること)」「Must(求められること)」の3つの輪が重なる部分を探すことが重要だとよく言われます。
特に、「やりたいこと(Will)」は、仕事を通じて「できること(Can)」が増えて自信がついた結果、後から見つかることも多いのです。
焦って「Will」だけを探す必要はありません。
今日の3ステップは、「Can」や「Must」を踏まえながら、あなたの「Will」の輪郭を形づくっていくための、地道で確実なプロセスだと捉えてください。
やりたいことは行動の中で形になる

やりたいことは、突然「これだ!」と降ってくるものではありません。
自己分析と行動と対話を繰り返すなかで、少しずつ形を成していきます。
本記事で紹介した3ステップを振り返りかえってみましょう。
・自己棚卸しで過去の快・不快を整理する
・小さく試して、行動を通じて感覚を確かめる
・信頼できる人に語り、言語化と気づきを得る
このサイクルを回していくことで、自分の価値観や方向性が少しずつ明確になります。
焦らずに「探しているプロセスそのものがキャリアの一部」だと捉えることが大切です。
やりたいことが見つからないと感じている人も、まずはこの3ステップから始めてみてください。
小さな一歩が、思わぬ未来への扉を開くきっかけになるはずです。
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