面接で必ず聞かれる「なぜ前職を辞めたのか?」─答え方のポイントとNG例─

転職

「差し支えなければ、前職を退職した理由を教えてください」

これまで人材エージェントとして、数えきれないほどの面接に同席してきましたが、体感80%以上の確率で聞くこの質問。 

本記事ではこの質問をテーマに掘り下げていきたいと思います。

はじめに:なぜ面接官はこの質問をよくするのか

そもそもなぜ企業は前職の退職理由を知りたがるのでしょうか。

一言でいうと、

自社に合うかどうかを見極めるための様々な要素を、この一発で聞き出しやすいから

です。

採用担当者が見ている3つのポイント

では、実際にこの質問で見られがちな主なポイントを見ていきましょう。

ポイント1:ポジティブなキャリア志向か

退職理由は大きく分けると、

上司とそりが合わない…
会社から評価されている気がしない…

というネガティブな理由と、

これからは○○な仕事にチャレンジしてみたいから!

のようなポジティブな理由に分かれます。

企業は基本的にはポジティブな転職理由を好む傾向にあり、その確認がこの質問でなされていることが多いです。

ちなみに、ネガティブな理由だから絶対NGという訳では決してありません。伝え方や応募先の企業の状況に応じて、ネガティブな理由でもプラス評価となりえる場合があります。

また、ここはちょっと難しいところなのですが、完全にポジティブ100%なら、最も評価が良くなるとは限りません。完全なポジティブ100%は「本当のこと言ってるの…?」と逆に怪しく見えてしまうことも。実はポジティブに見せていても、裏返すとネガティブに感じられる場合もあります。

ポイント2:考え方に一貫性があるか(論理的か)

基本的には、退職理由と志望理由はひとつの軸でつながっているはずです。

なぜなら、退職した原因となっている要因を解消するために転職をするはずだからです。

退職理由:現職では○○の仕事に携わることが難しいため辞めました。
 ↓
志望理由:なので、○○の経験に携われるこちらのお仕事に応募しました。

しかし、この一貫性が感じられない場合は要注意です。

ロジカルな考え方ができないのではないかと、マイナス印象を与えてしまう場合があります。

ポイント3:同じ理由でうちを辞めないか

企業側としては、退職理由が自社でも発生する可能性がある場合、同じ理由で辞めてしまうのではないかと警戒しているため、この質問で確認をいれています。

「弊社でもその状況が発生する可能性はあるのですが、大丈夫ですか?」と直接的に、深堀されるケースもあります。そのため、可能であれば返答パターンをいくつか用意して面接に臨めると良いです。

誰でも使える!退職理由の答え方3ステップ

では、実際にこの質問をされたとき、どのような形で回答をすればいいのでしょうか。

もちろん、状況に応じて変わるため絶対的な正解はないですが、多くのケースで使える基本的な回答パターンは以下のような形です。

【結論】辞めた理由(一言でいえば)
 ↓
【事実】前職の状況(退職理由の詳細)
 ↓
【転職目的】今回の転職で実現したいこと

結論:辞めた理由(一言でいえば)

まず、端的に辞めた理由を伝えましょう。

・より上流工程の仕事に挑戦したいと考えたからです。
・特定の分野での専門性を深めたいと思ったからです。

などなど、はじめに一言で退職理由を伝えましょう。

はじめに伝えることで、企業側としても
「なるほど、退職理由は○○で、この後はそれについての話をしてくれるんだな」
と話が頭に入ってきやすくなります。

事実:前職の状況(退職理由の詳細)

次に、退職理由の背景や、そこに至る状況を説明します。

状況の説明においては、数字や客観的に分かる指標を用いて説明ができると尚良しです。

例)
△:残業時間がとても多くて~
 ↓
〇:残業時間が月平均80時間ありまして~

転職目的:今回の転職で実現したいこと

退職理由からつなげて、今回の転職で実現したいこと、達成したいことを伝えます。

ここは、先程の「ポイント2:考え方に一貫性があるか(論理的か)」が重要です。

退職理由の解消につながっている転職目的を伝えていきましょう。

NG表現はこれ!よくある退職理由のダメな例と言い換え方

では次に、よくある退職理由の「NGな表現」と、言い換え例をみてみましょう。

※もちろん、ここでご紹介するものはあくまで一例です。ご自身の状況にあわせて表現は調整しましょう。

例1:キャリアアップ/スキル向上

NG例:
「今の会社ではもう学べることがないので辞めました。」

言い換え例:
「前職では営業業務が中心でしたが、今後はマーケティング領域にも挑戦したいと考え、より幅広く経験できる環境を求めて転職を決意しました。」

NG例では、上から目線な印象を与えてしまう可能性があります。先程の、「ポイント1:ポジティブなキャリア志向か」のように、あくまでポジティブな印象を与えるような表現で伝えられると良いですね。

例2:労働条件(残業・給与・勤務地など)

NG例:
「ブラック企業でひどかったです。残業代も出ませんでした。」

言い換え例:
「前職では月の残業平均が80時間以上など、長時間労働が常態化しており、自身の健康や将来を考える中で、働き方を見直しつつも成長できる職場を探したいと考えるようになりました。」

NG例は、事実かもしれませんが、ネガティブな表現が強いです。過度なネガティブ表現をしてしまうと、入社後にトラブルを起こしやすいのではないかと懸念される可能性があります。負の状況を伝える必要がある場合は、「ひどかった」などの感情を表現するのではなく、「月平均残業時間が○○だった」など、事実を伝えるとマイナス印象になりづらいです。

例3:人間関係

NG例:
「上司が合わなかった」「部署内でのコミュニケーションが全くなかった」

言い換え例:
「チーム内での意見の違いもあり、自分自身のコミュニケーションスタイルを見つめ直す機会となりました。今後はより協調的な環境で貢献していきたいと考えています。」

NG例は、他責に聞こえ、協調性に疑問を持たれやすいです。

基本的には、自責で話をしていきましょう。

例4:会社の将来性/経営状況

NG例:
「倒産しそうでヤバかったから逃げました。」「会社の経営方針に納得できなくて辞めました。」

言い換え例:
「前職では経営の先行きに不透明さを感じ、長期的なキャリア設計を考えた結果、新たな環境でスキルを磨きたいと思い転職を決断しました。」

たとえ事実でも、言い方次第で責任感のなさや軽率さ、他責傾向などを疑われてしまいます。また、自分の中では悪だと思っている点についても、悪と断定するのではなく、あくまで自身と考え方が合わなかったというニュアンスだと、無用なマイナス評価を受けづらいです。

まとめ:誠実さと前向きさが鍵

以上、本記事では面接でよく聞かれる退職理由について、その質問の背景と答え方をまとめました。

退職理由に正解はないですが、その伝え方には工夫が必要です

基本姿勢としては、「誠実さと前向きさ」がポイントです。

ネガティブ表現や他責志向になってしまっている点は、なかなか自分では気づきずらかったりするので、他の人に回答内容を見てもらったりしつつ、ブラッシュアップしていきましょう。

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