給与交渉と聞くと、「強気に出なければいけない」「お金の話は気まずい」と感じる方は多いのではないでしょうか。
「本当は交渉したほうがいいと分かっている。でも、どう切り出せばいいか分からない。」
そんなモヤモヤを抱えたまま、話を飲み込んでしまう方も多いはずです。
特に、日本では“給与の話=下品・わがまま”と捉えられやすく、交渉そのものを避けてしまう人も少なくありません。
一方で、転職や昇進の場面では、給与交渉は避けて通れないテーマでもあります。
そしてHRやマネジメントの立場から見ると、給与交渉は単なる金額の話ではなく、その人の考え方・仕事観・対話力が表れる場面でもあります。
同じ希望額でも、
・感情的に伝える人
・事実と役割を整理して伝える人
では、受け取られ方は大きく異なります。
この記事では、
・給与交渉で言ってはいけないNGフレーズ
・印象が良く、評価につながるOKフレーズ
・交渉前に整理しておきたい視点
を、HR目線で丁寧に整理していきます。
給与交渉がうまくいく人の共通点

給与交渉がうまくいく人は、必ずしも「交渉が得意」「押しが強い」タイプとは限りません。
むしろ、静かで誠実な人ほど、結果的に良い着地をしているケースも多くあります。
共通しているのは、次のような点です。
・金額よりも「役割」や「期待」を先に確認している
・自分の事情ではなく、会社との接点で話している
・感情ではなく、事実・実績・再現性で説明している
裏を返せば、これらは「給与の決定権を持つ人が、社内で承認を得るために必要な材料」でもあります。
HR側が見ているのは、「いくら欲しいか」だけではありません。
・この人は、自分の価値をどの程度客観視できているか
・この人とは建設的な対話ができそうか
といった点も、無意識のうちに判断されています。
特に、「客観視」とは、市場価値と自社への貢献度を結びつけて説明できる能力です。
高い給与は、高い責任と難易度を伴います。その覚悟と準備ができているかを、HRは見極めようとしているのです。
給与交渉は条件調整であると同時に、
“一緒に仕事を進める相手として信頼できるか”を確認する場でもあるのです。
これは言わないで!給与交渉のNGフレーズ

NG①「生活が厳しいので、もう少し欲しいです」
率直な理由に見えますが、会社側からすると判断材料になりません。
給与は生活費の補填ではなく、業務や成果への対価として支払われるものです。
HRの本音としては、
「事情は理解できるが、それを理由に報酬を決めることはできない」
というのが実際のところです。
NG② 「前職ではこのくらいもらっていました」
過去の給与額は参考情報にはなりますが、それだけで交渉するのは危険です。
前職の評価制度や給与水準が、今の会社と同じとは限りません。
特に、
・業界が違う
・会社規模が違う
・評価制度が違う
場合は、説得力が弱くなりがちです。
「前はいくらだったか」よりも、「今、何ができるか」「これから何を担えるか」を軸に話す方が、建設的な対話になります。
NG③ 「他社はもっと高い条件を提示してきています」
事実であっても、伝え方次第では“脅し”のように聞こえてしまいます。
特に、まだ信頼関係が十分にできていない段階では逆効果になりやすい表現です。
HR側としては、
「条件だけで会社を選ぶ人なのか?」
「入社後も不満が出やすいのでは?」
といった懸念がよぎることもあります。
NG④「正直、この金額だと納得できません」
率直さは大切ですが、理由や背景がないと話が前に進みません。
感情だけが前面に出ると、調整の余地が見えなくなってしまいます。
「なぜ納得できないのか」を言語化できていない交渉は、 相手にとっても難易度が高いのです。
印象が良く、評価につながるOKフレーズ

OK①「御社で期待されている役割について確認させてください」
この一言は、交渉の土台を整える効果があります。
役割や責任範囲を明確にしたうえで条件を話す姿勢は、非常に好印象です。
HR側としても、
「この役割なら、この条件が妥当だ」
と社内で説明しやすくなります。
OK②「この業務内容であれば、◯◯の経験を活かせると考えています」
自分の価値を、業務ベースで説明する表現です。
単なる実績紹介ではなく、「再現性」を示せる点が評価されます。
「これができます」ではなく、 「この役割に対して、こう貢献できます」と伝えることがポイントです。
OK③「将来的な評価や昇給の考え方も教えていただけますか」
今の金額だけに焦点を当てず、中長期の視点を持っている印象を与えます。
結果として、交渉が「お金の話」から「成長と評価の話」に変わっていきます。
短期的に希望額に届かなくても、将来の見通しが持てれば納得できるケースも少なくありません。
OK④「条件面について、どのような調整余地があるか相談できれば嬉しいです」
対立構造を作らず、「一緒に考える」姿勢を示す表現です。
HRや上司としても、前向きに検討しやすくなります。
交渉は主張ではなく、対話の設計だと分かるフレーズです。
給与交渉前に整理しておきたい3つの視点

① 何に対して対価を求めているのか
業務量なのか、責任範囲なのか、成果なのか。
ここが曖昧なまま交渉すると、話もぼやけてしまいます。
「頑張っているから」ではなく、「どの部分に価値があるのか」を自分なりに整理しておくことが大切です。
例えば、
「今回の給与は、主に新規事業の立ち上げ、あるいはマネジメント業務という責任の難易度に対して対価を求めています。」
など、具体的な「何を対価とするか」を明確に示しましょう。
② 希望額の根拠を言語化できているか
・実績
・市場感
・会社への貢献
必ずしも数字でなくても構いませんが、筋の通った説明は必要です。
大切なのは、自分でも納得できる説明ができるかです。
また、市場感を根拠にする場合、「同業他社で同じスキルセットを持つ方の平均は(〇〇円)と理解しています。私の(具体的なスキル)がもたらす貢献度を加味し、この金額を希望しました。」
など、客観的な事実と主観的な貢献を分けて説明すると説得力が増します。
③ ゴールは金額だけか
給与以外にも、
・業務内容
・評価制度
・働き方
など、交渉できる要素はあります。
「給与=総合条件」と捉える視点を持つと、交渉の選択肢が広がります。
希望額に届かない場合、
「現時点での給与額は承知いたしました。その場合、業務範囲の調整や、リモートワークの頻度増加、または専門的な研修機会の提供など、給与以外の部分で調整の余地はありますでしょうか?」
と尋ねることで、交渉の幅が広がり、柔軟な姿勢を示すことができます。
まとめ|給与交渉は「交渉力」より「対話力」

給与交渉は、勝ち負けを決める場ではありません。
伝え方ひとつで、評価を上げるチャンスにも、信頼を下げる瞬間にもなります。
大切なのは、強く主張することではなく、相手の立場を理解したうえで、対話を設計すること。
焦らず、立ち止まり、相手の視点も眺めながら進めることが重要です。
給与交渉も、キャリアの一部と考えて、進め方を組み立てていきましょう。
「自分のケースだとどうしたら…」そう感じたら、プロの力を借りてみませんか?
ここまで読んで、「考え方は理解できた。でも実際の交渉ではやっぱり不安が残る」と感じた方もいるかもしれません。
そんな場合は、キャリアの専門家に相談するのも一つの方法です。
ストローラー株式会社では、これまで1,000名以上のキャリア支援を行ってきた実績をもとに、キャリア構築のサポートをご提供しています。
▶給与交渉の進め方サポート
▶応募企業毎にカスタマイズした面接対策
▶強みや弱みの深掘り など
まずは無料相談で、あなたのケースに合ったキャリアの整理を一緒に始めてみませんか?
※ご相談は無料です。
<キャリア相談ルートパス>
そんなキャリアの悩みに、1カ月間プロが全力伴走します!
✓ LINEやメールで、1カ月間いつでも何度でも相談OK
✓ Zoom/Meetで1対1の本格キャリア相談(60分)つき
「ちょっと聞いてほしい」から「人生の選択」まで、一緒に考えます。
<書類通過パス>
履歴書・職務経歴書のそんなお悩みを、人材のプロが解決します。
納品までの添削は何回でも可能!文字数や職歴数による追加料金も一切発生しません。
書類通過にむけた修正アドバイス付きで、あなたの応募書類のクオリティを向上させます。
<自分退職ガイドパス>
「どうやって会社に話せばいい?」「退職前に準備すべきことは?」「法律知識も必要?」
そんな不安、すべてお気軽にご相談ください。
会社への伝え方・書類作成・退職完了まで、丁寧にガイドします。



コメント