一回の退職が“失敗”だと感じた時に読む話

キャリア論

退職して少し時間が経った頃、ふとこんな気持ちになることがあります。
「あの時、辞めないほうがよかったのかな」
「一回辞めた自分は、キャリア的に失敗なんじゃないか」

転職活動が思うように進まなかったり、周囲が順調そうに見えたりすると、その気持ちはさらに強くなります。

そして夜中に「退職 失敗」「転職 後悔」と検索して、このページにたどり着いたのかもしれません。

一回の退職を“失敗だった”と感じてしまうこと自体は、まったく珍しいことではありません。

この記事では、「なぜそう感じてしまうのか」「それは本当に失敗なのか」を整理しながら、今後のキャリアの考え方について一緒にみていきましょう。

なぜ私たちは退職を「失敗」だと感じやすいのか

日本では「続けること=正解」という空気が強い

日本のキャリア観には、今もなお「長く続ける人が評価される」という前提があります。

そのため、一回でも退職をすると「我慢が足りなかったのでは」「逃げたのでは」と自分を責めてしまいがちです。

実際には、環境が合わない職場に居続けることが正解とは限りません。

それでも、辞めたという事実だけがマイナスのように感じられてしまうのは、社会の空気の影響が大きいのです。

退職直後は“成果”が見えにくい

退職直後は、成果が見えにくい時期でもあります。

退職はゴールではなく途中の出来事ですが、辞めた直後ほど、何かが良くなった実感を求めてしまいます。

転職先がすぐ決まらない、条件が理想通りではない。

そこに加えて、給与や役職、慣れた人間関係といった目に見えるものを失うと、人はそれを大きな損失として捉えやすくなります。

その結果、前のままのほうがよかったのではないかという思い込みが強まり、この退職は間違いだったのではないかという感情につながります。

 他人の“編集された成功”との比較

さらに、他人の編集された成功と自分を比べてしまうこともあります。

SNSや転職サイトで目にするのは、多くの場合「紆余曲折を経て成功した後の話」です。

・「年収100万円アップの転職に成功!」
・「未経験から憧れの職種へ」

一方で、自分はまだ途中にいる状態です。

完成形と途中経過を比べてしまえば、不安になるのは当然です。

その退職は本当に「失敗」ですか?見直してほしい3つの視点

今の不安な感情に飲み込まれる前に、一度以下の3つの視点で自分の決断を客観視してみましょう。

視点① 当時の自分にとって、その退職は妥当だったか

まず、退職を決めた当時の自分にとって、その判断は妥当だったのかという点です。

今の比較的落ち着いた状態から、過去の判断を厳しく判断していないでしょうか

当時は、環境や心身の状態、人間関係など、さまざまな要因が重なった中で決断していたはずです。

あの時の自分にとって、辞めずに続ける選択は本当に現実的だったのか。

そこを冷静に振り返る価値はあります。

視点② 「辞めなかった未来」のリスクを想像する

次に、辞めなかった未来のリスクを想像してみることです。

「続けていれば今より良かったはず」という考えは、あくまで都合のいい仮定にすぎません。

もし辞めずに続けていたら、さらにメンタルを崩していたかもしれない、成長が完全に止まっていたかもしれない、あるいは取り返しのつかないミスをしていたかもしれない。

退職には失ったものだけでなく、避けられたリスクもあります。

視点③ キャリアは“点”ではなく“線”で見るもの

そして、キャリアは点ではなく線で見るものだという視点です。

一回の退職だけで、その人のキャリア全体が決まることはありません。

出来事の意味は、後から書き換えられていくものです。

今は失敗に見える経験が、数年後には転機として語られていることも珍しくありません。

その意味づけは、これからの行動次第で変えていけます。

「退職が失敗だったかも」と感じた時にやってほしい整理ステップ

今のモヤモヤを整理するために、以下の3ステップを試してみてください。

ステップ① 感情と事実を分けて書き出す

頭の中を一度外に出してみるのも一つの方法です。

「後悔している」「不安だ」という感情と、「退職した」「転職活動中である」という事実は別物です。

感情が強いと、事実までネガティブに見えてしまいます

紙に書き出して分けてみるだけでも、状況を少し客観的に捉えやすくなります。

ステップ② 退職によって得たものを言語化する

退職によって得たものを言葉にすることも大切です。退職はマイナスだけの出来事ではありません。

・自分の「限界値」を知ることができた
・自分が「絶対に譲れない条件」が明確になった
・苦手な環境のパターンを学習した

必ず何かしらの“獲得”があります。

それを言語化できるかどうかが、次のキャリアに大きく影響します。

ステップ③ この退職をどう語るかを考える(リフレーミング)

さらに、この退職をどう語るかを考えてみてください。

面接や職務経歴書で重要なのは、辞めたという事実そのものよりも、それをどう受け止め、どう意味づけているかです。

面接や周囲への説明に向けて、言い換え(リフレーミング)をしてみましょう。

失敗談: 「会社が合わなくて、逃げるように辞めてしまいました」

言い換え: 「自分の適性と環境のミスマッチが、〇〇という点にあることを知ることができました。この反省から、次は〇〇という軸で貢献したいと考えています」

失敗談として語るのか、学びのある転機として語るのかで、印象は大きく変わります。

それでも気持ちが前を向かない時に知ってほしいこと

退職後に自信を失うのは、あなたが弱いからではありません。むしろ、自分の人生を真剣に考えている証拠です。

キャリアには、必ず谷の時期があります。今はその途中にいて、次の山へ登るための体力を蓄えている時間かもしれません。

ずっと谷の底に居続ける人はいません。

今、立ち止まることは、決して後退ではないのです。

一回の退職で、キャリアは決まらない

一回の退職が「失敗だったかどうか」は、これからどう使うかで変わります。

キャリアは一直線ではなく、散歩道のようなものです。

遠回りに見える道にも、あとから意味はついてきます。

今日はただ、立ち止まって考える日でいいのです。また歩き出すタイミングは、必ず来ます。

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