なぜ「第一志望」から受けてはいけないのか? 転職で失敗する人が陥る「応募の順番」の共通点

転職

転職活動というと、多くの人が「どんな企業に応募するか」「志望動機をどう伝えるか」といった“内容づくり”に意識を向けがちです。

しかし、実は見落とされやすい落とし穴が一つあります。

それが”応募の順番”です。

同じスキル、同じ求人ラインナップであっても、応募する順番しだいで結果は大きく変わります。

・早期に内定が出てしまい焦って決めてしまう人
・本命企業を最初に受けて力を出し切れず落ちてしまう人
・一気に応募しすぎてスケジュール管理が破綻する人

など、“順番の設計ミス”から生まれてしまう失敗は多くあります。

本記事では、転職で失敗しやすい人に共通する応募順のパターンと、後悔しない応募順の作り方について詳しく解説します。

❌ 失敗しやすい人に共通する“応募順の3大パターン”

早速ですが、よくある失敗パターンを見ていきましょう。

パターン① 第一志望からいきなり応募してしまう

これは最もよくある失敗パターンです。

「この会社が一番行きたいから、まずはここから受けよう!」という気持ちはよく分かります。

しかし、面接というのは不思議なもので、実践を重ねるうちに急激に上達することが多くあります。

転職初期の面接は、緊張から自己紹介が固くなったり、退職理由や転職軸の言語化が浅くなりがち。企業研究も最初のほうは精度が甘く、どうしても「準備不足の状態」で臨むことになります。

その状態で本命企業に挑むと、志望度が高いほど言葉が空回りしたり、想定外の質問に対応できないまま終わるリスクが高いのです。

結果として、本命企業だけが落ちて、その後のモチベーションが崩れてしまうケースもよくあります。

さらに、第一志望から受けると「比較対象がない」ため、条件・社風・働き方を冷静に判断する基準も持ちにくくなります。

つまり、最初に本命を受けるのは、心理的にも戦略的にも損なのです。

特に、「営業職から未経験の企画職へ」など、異職種転職を目指す人は、面接での言語化に慣れていないため、この失敗パターンに陥りやすい傾向があります。

パターン② 一度に大量応募して、面接が同時多発してしまう

「とりあえず10社、20社くらいまとめて応募!」という勢いで始める方も少なくありません。

スピーディに動けて良いように見えますが、実務の現場ではここでつまずいてしまうケースもよくあります。

大量に応募すると、

・毎日いくつもの面接が入り、準備が追いつかない
・企業ごとの特徴が頭に入らず、志望動機が浅く聞こえる
・スケジュールが重なり、調整のメール対応で疲弊する
・とくに興味のない企業にも面接が進んでしまう

という事態が起こります。

その結果、「この会社って何やってるんだっけ?」という状態のまま面接に臨むことになり、不採用が続いて焦りを生む悪循環へ。

企業側から見ても、ドタキャンや辞退が増えると印象は悪くなり、以降の選考にも影響しかねません。

効率良く見えて、実は最も非効率なやり方と言えるでしょう。

パターン③ “内定が出るのが早い企業”から応募してしまう

職種や業界によって選考スピードは大きく違います。

例えば、ベンチャー企業や人材業界、SaaS系は比較的選考が早い傾向があり、書類通過から最終面接まで数日で進むことも珍しくありません。

一方、大手メーカーやインフラ系は選考がゆっくりなことが多く、内定まで1〜2ヶ月かかることもあります。

この違いを理解せずに応募を進めると、
「本命企業の書類結果が出る前に、スピード採用の会社から先に内定が出る」
という状況が生まれます。

そして、「内定承諾の期限」というプレッシャーによって、まだ本命を受けてもいないのに決断してしまうケースが起こってしまうことがあります。

このパターンは後悔の確率が高く、「いったん働いてみたけれど、やっぱり違った」と数ヶ月で再び転職検討に入る人も少なくありません。

なぜ“応募の順番”で結果が変わるのか?

次に、なぜ応募順番で転職活動の結果が出てしまうのかを押さえておきましょう。

理由① 面接スキルは“実戦で鍛えられる”から

人材業界で見てきた限り、面接は“準備の質”と同じくらい“場数”が重要です。

転職序盤の面接と、3〜4社目の面接では、受け答えの安定感がまるで違います。

最初はどうしても、

・自己紹介が長くなる
・退職理由の説明が弱い
・「なぜうちの会社?」の回答が浅い

などの“初歩的なミス”が起こりやすいです。

応募順を工夫して「本番前に練習」を挟むだけで、面接の成功率は驚くほど変わります。

理由② 選考スピードの差が“意思決定の質”に影響するから

早く内定が出る企業を先に受けると、「他の企業を見られないまま決断せざるを得ない」状況になります。

つまり、応募順は意思決定の自由度を左右する重要な要素なのです。

理由③ 複数の内定を同じタイミングで比較できるから

理想は、

複数の企業の最終面接〜内定が近いタイミングに揃うことです

そのほうが、

・条件
・働き方
・評価方法
・面接の印象

などを冷静に比べられます。

応募順とは、「比較のしやすさ」を整える戦略でもあるのです。

✅ 後悔しないための“正しい応募順”の作り方

では、実際に応募を進める際のオススメの方法をステップ別にご紹介します。

Step 1:応募企業を「本命/準本命/練習枠」に分類する

まずは応募予定企業を3つに分けましょう。

本 命:絶対に落としたくない企業
準本命:志望度は高いが比較したい企業
練習枠:興味はあるが優先度は低めの企業

この分類を行うだけで、応募戦略の軸が明確になります。

練習枠を設定するのは遠回りのように見えますが、実はもっとも合理的なやり方です。

Step 2:最初の1〜2社は“練習枠”から受ける

練習枠の企業を最初に選ぶ理由は、

「本番前に面接スキルを整える」ためです。

もちろん練習枠の企業も真剣に受けて構いません。

ただ、初期のぎこちなさはどうしても避けられません。

そこで練習枠を最初に受けて、回答の質や話すテンポを調整します。

Step 3:本命に近い企業は“ほぼ同じ時期”に応募する

準本命〜本命は、応募時期を大きくずらさないことがポイントです。

同時期に応募すれば、最終面接も近いタイミングで訪れやすく、条件比較がスムーズになります。

Step 4:内定が出やすい企業は後ろのほうに置く

スピード採用の企業は後半に回すことで、
「本命企業の選考がある程度進んでから内定が出る」
という理想的なスケジュールに近づきます。

焦って決めるリスクを最小限にするための工夫です。

応募順の“悪い例”と“良い例”

悪い例(よくあるパターン)

・気持ちが盛り上がって第一志望から応募
・同時に10数社へ大量応募
・ベンチャー企業から即日内定
・本命企業の選考結果が出る前に内定承諾
・その後ミスマッチに気づき後悔

良い例(理想的な戦略)

・練習枠2社で面接に慣れる
・準本命2社を続けて応募し、転職軸の精度を高める
・本命企業3社をほぼ同時期に応募
・最終面接〜内定が同期間に揃い比較がしやすい
・納得感のある意思決定ができた

応募順を変えるだけで、転職の成功確率は大きく上がります。

まとめ:応募順は“戦略”である

転職の成功は、準備内容と同じくらい「行動の順番」によって左右されます。

面接スキル、選考スピード、比較しやすさ――すべてが順番によって変化するためです。

転職活動は、焦らず、慎重に順番を設計することで、結果の質がぐっと高まります。

とくに本命企業への挑戦は、十分に慣れてから挑むだけで合格率が上がり、後悔のない転職につながります。

ぜひ「応募順を整える」という視点を取り入れ、自分の転職活動をより戦略的に進めてみてください。

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