「辞めるか続けるか」で悩んだ時に役立つ整理シート|感情に流されない判断のために

キャリア論

「このまま今の会社で働き続けていいのか、それとも辞めた方がいいのか…」

一度この悩みにハマると、毎日のように考えてしまい、なかなか答えが出ないものです。

冷静に考えようと思ってもその日の上司の一言で感情が波立ったり、将来への漠然とした不安に襲われたりして、結局「もう少し様子を見よう」と先送りにしている方も多いのではないでしょうか。

実際、キャリア相談の現場でも「ずっと考えているのに、思考が堂々巡りして何も整理できていない」という声を非常によく聞きます。

その原因の多くは、あなたの決断力がないからではありません。

「事実」「感情」「想像」が頭の中で混ざり合い、整理できていない点にあります。

本記事では、「辞める・続ける」の正解を提示するのではなく、あなたが自分自身で納得できる答えを導き出すための『整理シート』の活用法をご紹介します。

そもそも、なぜ「判断」がこれほど苦しいのか

整理シートの書き方の前に、なぜ今のあなたがこれほどまでに悩んでしまうのか、そのメカニズムを少しだけおさえておきましょう。

「不満」と「不安」が混ざっている

今の会社に対する「不満」と、環境を変えることへの「不安」。

この2つがぶつかり合うと、脳は現状維持を選ぼうとします。

これを心理学で「現状維持バイアス」と呼びます。

「嫌だけど、動くのは怖い」という状態は、人間にとって非常にエネルギーを消耗するものです。

事実と感情の境界線が消えている

「上司が嫌いだ(感情)」と「この会社では正当な評価がされない(事実)」は別物です。

しかし、悩みが深まると、嫌いな人がいるだけで「この会社の制度はすべてダメだ」と思い込んでしまうなど、種類の違う要因が混ざり合ったままネガティブな考えが強まることがあります。

こうした脳内のカオスを解消するために必要なのが、「思考の可視化」です。

感情に流されないための「整理シート」5つのステップ

今回ご紹介する整理シートは、頭の中にあるモヤモヤを強制的に外へ出し、客観的なデータに変えるためのツールです。

ノートやPCのメモ帳を準備して、以下のステップで進めてみてください。

STEP1:今感じている不満をそのまま書き出す

まずは、今感じている不満や違和感を、そのまま書き出してみましょう。

ポイントは「正しいかどうか」を考えないこと。愚痴っぽくても、感情的でも構いません。

誰に見せるものでもないので、綺麗事を抜きにして本音をぶちまけてください

・朝起きるのがつらい
・上司の言い方が高圧的で、顔を見るのも嫌だ
・給料が安すぎて、将来が描けない
・この仕事を続けて成長できる気がしない

書き出すだけでも、「こんなことで悩んでいたのか」と客観視でき、頭の中のモヤモヤが少し軽くなる方も多いです。

STEP2:「環境要因」と「自分要因」に分ける

次に、書き出した不満を「自分の行動や考え方で影響を与えられる可能性があるもの((自分要因)」と「自分ではどうにもできないか(環境要因)」に分類します。

▼環境要因の例
・会社の方針
・給与や評価制度
・人間関係
・業務量や働き方

▼自分要因の例
・やりがいを感じられない
・成長実感がない
・仕事への向き合い方
・価値観の変化

この作業の目的は、「どちらが悪いか」を決めることではありません。

自分でコントロールできる可能性がどこにあるかを見極めるためです。

環境要因が多ければ、個人の努力だけでは限界があるかもしれません。

一方で、自分要因が中心であれば、行動や考え方を変える余地が残っている可能性もあります。

STEP3:今の会社で改善できる余地はあるか?

次に考えたいのが、「辞める」という最終判断を出す前に、今の会社で動ける余地がどれくらいあるかです。

・上司や人事に相談できそうか
・部署異動や業務調整の可能性はあるか
・自分の仕事の進め方を変えられそうか

ここで大切なのは、「実際にやるかどうか」ではなく、選択肢として存在しているかを考えることです。

改善の余地がほとんどない場合、「続ける」という選択は現実的にかなり厳しいかもしれません。

逆に、まだ試していない選択肢がいくつかあるなら、一度チャレンジしてから判断する、という道も見えてきます。

STEP4:辞めた場合/続けた場合を並べてみる

ここでは、「辞めたらどうなるか」「続けたらどうなるか」を並べて考えてみます。

ポイントは、良い面と不安な面を両方書くことです。

【辞めた場合】
・気持ちは楽になりそう
・新しい環境でリスタートできる
・収入が不安定になるかもしれない
・次の職場も合うかは分からない

【続けた場合】
・安定は続く
・スキルは積み上がる
・モヤモヤは当面続きそう
・数年後に後悔するかもしれない

「たぶん」「〜な気がする」というレベルで構いません。

正確さよりも、頭の中にある想像を外に出すことが目的です。

この作業をすると、「辞めればすべて解決するわけではない」ことも、自然と見えてきます。

また、リスクを書き出すことで、「辞めた後の準備(貯金やスキルアップ)」という具体的な行動が見えてきます。

STEP5:「今すぐ決めない」という選択肢を入れる

最後に、ぜひ入れてほしいのが今すぐ白黒つけない選択肢です。

・3ヶ月だけ続けてみる
・転職活動だけ始めてみる
・信頼できる人に相談してみる

「辞める/続ける」の2択だけで考えると、判断は一気に重くなります

 選択肢にグラデーションを持たせることで、気持ちも整理しやすくなります。

整理シートを使っても迷うのは普通

整理シートを使っても、すぐに答えが出ないことは珍しくありません。

それでも、悩みが言語化されている時点で、確実に前には進んでいます。

キャリアの判断は、スピードよりも納得感が大切です。焦らず、自分のペースで考えていきましょう。

まとめ:後悔しにくい選択をするために

「辞めるか続けるか」の判断に、絶対的な正解はありません

100%満足できる職場も、100%正しい決断も、実は存在しないからです。

大切なのは、感情を無理に押し殺すことでも、勢いで決めることでもなく、自分なりに整理し、納得できる形で選ぶことです。

今回ご紹介した整理シートは、決断を急がせるためのものではなく、後悔の少ない選択をするための道具です。

もし一人でシートを埋めるのが苦しい、あるいは客観的な意見が欲しいと感じたときは、信頼できる第三者やキャリアの専門家に頼るのも一つの手です。

あなたの「歩み」が、より納得感のあるものになるよう応援しています。

「自分のケースだとどうしたら…」そう感じたら、プロの力を借りてみませんか?

ここまで読んでみて、「整理シートは良さそうだけど、一人でやるのはやっぱり不安だな」と感じた方もいるかもしれません。

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