「上司が怖い」「怒られるのが怖い」その怖さから抜け出す思考整理術

キャリア論

「上司が怖い」「怒られるのが怖い」。

そんな感情を抱いた経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

特に入社して間もない頃や、新しい環境に慣れない時期は、上司の一言ひとことで心が揺れ動くこともあります。

しかし、この「怖い」という感情を放っておくと、上司に萎縮して意見を言えなくなったり、仕事そのものが苦痛に感じられるようになってしまうことがあります。

結果的に、パフォーマンスの低下や職場への不信感にもつながりかねません。

今回は、この「怖い」という気持ちの正体を整理しながら、感情に振り回されずに仕事に向き合うための思考整理法を紹介します。

「怖い」と感じることは悪いことではありません。むしろ、自分を守るための大切なサインでもあるのです。

あなたの「怖い」はどれ? 3つの恐怖の正体

「怖い」という感情は、ひとつの言葉で表現されますが、その中身は人によってまったく違います。

まずは、その正体をいくつかに分けてみましょう。

① 人としての恐怖

怒鳴る、威圧的な態度をとる、人格を否定するような言葉を浴びせる。

こうした行為によって「怖い」と感じる場合は、あなたの心が危険信号を出しています。

これはあなたの弱さではなく、相手の関わり方に問題がある可能性が高いです。

② 評価への恐怖

「ミスをしたら評価が下がる」「怒られたら信頼を失う」といった、仕事上の評価を気にする怖さです。

真面目で責任感の強い人ほど、ここで過剰に反応してしまいがちです。

③ 過去の経験に基づく恐怖

以前、強く叱責された経験や、失敗を責められた記憶が残っていて、似たような状況になると反射的に怖さを感じることがあります。

これは「過去のトラウマ」が今の行動に影響している状態です。

自分がどの「怖さ」を感じているのかを言語化することで、気持ちは少しずつ整理されていきます。
「なんとなく怖い」と思っていたことが、「評価を気にしていた」「過去の記憶が反応していた」と分かるだけで、対応の仕方が変わってくるのです。

「怒り=否定」ではない! 視点を変えるマインドセット

私たちは「怒られる=自分が悪い」「ダメな人間だ」と感じやすい傾向があります。

しかし、怒られること自体が必ずしも悪いこととは限りません。

上司の中には「改善してほしい」「同じミスを防ぎたい」という思いから強い言葉を使う人もいます。

言い方が不適切な場合もありますが、すべてが「否定」ではないのです。

また、「怒られるのが怖い」と感じる背景には、自己否定の強さや完璧主義が潜んでいることがあります。

「ミスをしたら終わり」「一度注意されたら信頼を失う」と思い込んでしまっているケースです。

でも実際の職場では、ミスを完全にゼロにすることは不可能です。

大切なのは、失敗をどう次に活かすか。

怒られることを「人格の否定」ではなく「行動へのフィードバック」として受け取る意識を持つだけで、心の負担は軽くなります。

「自分を責める」より、「何を学べるか」に視点を変えていくことが、思考整理の第一歩です。

怖さに振り回されない! 感情を整理し、自分を守る4つのステップ

それでは、実際に怖さをコントロールする具体的な方法について、ステップごとに分けてみていきましょう。

ステップ①:感情を「書き出す」

まず、頭の中のモヤモヤを紙に書き出してみましょう。

「上司に怒られた」「怖かった」「萎縮した」といった出来事や感情をそのまま書くことで、気持ちを外に出せます。

書き出すことで「自分は何に反応しているのか」が見え、感情を客観的に整理できます。

ステップ②:「何が怖いのか」を具体化する

次に、「上司が怖い」と思う具体的な場面を書き出します。

「声を荒げられるのが怖い」「機嫌が悪いときに話しかけるのが怖い」「ミスを報告するのが怖い」など。

その上で、それが「上司の性格によるもの」なのか「自分の過去の経験から来るもの」なのかを考えてみましょう。

・上司の性格によるものと分かれば、 必要以上に心を痛めず、冷静に距離感を調整する(報告のタイミングを選ぶなど)対策を取ることができます。

・自分の過去の経験から来ていると分かれば、 過去の記憶と今の状況を切り離し、リフレーミング(意味づけの変更)を試みることができます。

怖さの原因が分かるだけで、行動の選択肢が広がります。

ステップ③:自分で変えられる範囲を明確にする

上司の性格や怒り方を変えることは、あなたの力では難しいかもしれません。

しかし、自分の「受け止め方」や「距離の取り方」は変えられます

「怒られないようにする」ではなく、「怒られても冷静でいられる自分になる」と考えると、少し心が楽になります。

自分を守るための“クッション”をつくるイメージです。

例えば、

・話を聞くときは、感情ではなく、指示や事実だけをメモにとる。
・怒られそうになったら、深呼吸をしたり、距離をおいて整理をしてから応答する。

など、具体的な行動テクニックを活用し、対応する自分をコントロールしましょう。

ステップ④:信頼できる人に話す

怖さを一人で抱えると、感情がどんどん増幅してしまいがちです。

信頼できる同僚や友人、家族に話してみるだけでも、心の整理が進むことがあります。

もし職場の問題が深刻な場合は、社内の相談窓口や外部のキャリアカウンセラーなどに相談しても構いません。

「怖い」と感じる自分を責めるのではなく、助けを借りる勇気を持つことも大切です。

その「怖さ」、環境のせいかも? ハラスメントの可能性と相談先

中には、あなたの感じる「怖さ」が個人の問題ではなく、職場環境そのものに原因があるケースもあります。

威圧的な指導、人格否定、長時間にわたる叱責などは、明らかにパワーハラスメントに該当する可能性があります。

「自分が弱いから怖い」と思い込まないでください。

上司の態度や言動に問題があると感じたら、信頼できる上司の上司、人事部門、または外部の相談機関(たとえば厚生労働省の「ハラスメント悩み相談室」など)を活用することも検討しましょう。

職場は、誰もが安心して働ける場所であるべきです。

あなたが「怖い」と感じること自体が、すでに「違和感」を知らせるサインです。

勇気を持って、その感情を無視しないでください。

まとめ:「怖い」は、成長のサインにもなり得る

「上司が怖い」と感じるのは、仕事を真剣に取り組んでいる証拠でもあります。

自分の行動を改善しようとする意識があるからこそ、怒られることが怖いのです。

この感情を否定せず、丁寧に整理していくことで、あなたはより自分に強く、柔軟になっていけます。

感情を整理し、冷静に行動を選べるようになれば、上司との関係も少しずつ変わっていくことがあります。

「怖い」をきっかけに、自分の内面を見つめ、働く自分をより心地よく整えていきましょう。

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