面接官が「またこの回答か」と思うテンプレ志望動機の避け方

転職

転職活動や就職活動の面接で、ほぼ例外なく聞かれる質問。

それが「志望動機」です。

「自分の志望動機って、他の人とどこが違うのだろう?」と不安になったことはありませんか?

特に企業の採用担当者にとっては、志望動機は「この応募者はなぜ自社を選んだのか?」を見極める大切な材料。

しかし、多くの応募者が「またこのパターンの志望動機か…」と感じるような、パターン化された回答を口にしがちなのが現実です。

今回は、面接官の心に残らない志望動機の避け方と、自分だけの言葉で伝えるための工夫についてお伝えします。

よくあるテンプレ志望動機のパターンと“刺さらない理由”

あなたもこんな志望動機を聞いたことがあるかもしれません。

「御社の企業理念に共感したため志望しました」
「業界トップのシェアに魅力を感じたため応募しました」
「自分の経験を活かせると感じたためです」
「御社で成長したいと考えたからです」

これらは一見「きちんと言えている」ように見えるかもしれません。

しかし、面接官からすると「どの会社にも言える」「抽象的」「なぜうちなのか、伝わってこない」と感じてしまうのです。

たとえば「理念に共感した」と言っても、具体的にどの部分に感銘を受けたのか、どのように自分の価値観と重なるのかがなければ説得力はありません。

また「経験が活かせるから」という理由も、「じゃあなぜ他社ではなく弊社なのか?」という問いが残るだけです。

テンプレを選んでしまう深層心理

多くの応募者がテンプレート的な志望動機を選んでしまう背景には、「面接官が求める正解を言わなければ」という心理が働いていることが多いです。

自分の言葉で語ることを恐れ、誰かの成功例や、無難で抽象的な表現に逃げてしまうのです。

しかし、面接官が聞きたいのは、完璧な「正解」ではありません。聞きたいのは、「あなた自身の考えと、会社への熱意」です。

つまり「テンプレ志望動機」は、相手に合わせたように見えるだけで、自分自身の言葉で語れていないのが問題なのです。

面接官は“何”を見ているのか?志望動機の評価ポイント

面接官が志望動機から読み取ろうとしていることは、大きく分けて2つあります。

1つ目は、「なぜこの会社なのか?」が明確かどうか。

重要なのは、業界を志望する理由ではありません。応募先企業に入社したい「固有の理由」です。

業界トップだから、福利厚生が良いから、という理由はどこでも通用してしまいます。

逆に「この会社の強みや方向性を理解して応募している」ことが示されれば、面接官の印象は大きく変わります。

2つ目は、「自分と会社の間にストーリーがあるか」。

応募者の過去の経験や価値観、将来のキャリアプランが応募企業と接続しているかどうか。

面接官は「この人が入社したら、どんな風に活躍してくれるだろう」という“未来のストーリー”を考えながら聞いています。

単なるスキルの一致だけではなく、「何を大事にしてきたのか」「どんな課題意識を持っているのか」を知りたいのです。

志望動機を“脱テンプレ化”する3ステップ

では、どうすれば志望動機を「自分だけの言葉」で語れるのでしょうか。

ここでは、そのための具体的な方法を3ステップでご紹介します。

ステップ1:企業理解を深掘りする

まず、応募企業の理解を深めることが土台です。

以下のようなポイントで情報収集してみましょう。

・どんな事業を展開しているか?(主力サービス・事業部の特徴)
・競合と比較したときの決定的な強みや、サービス開発の優先順位は何か?
・最近のニュース、リリースにどんな戦略的意図が見えるか?
IR情報(投資家向け情報)の中期経営計画や社長メッセージから、将来の課題を明確に把握できているか?
・社員が語る働き方や企業文化を、自分の価値観に照らしてどう感じるか?
・営業利益や従業員数の推移など数字面もチェック

ここで重要なのは、ホームページに一度目を通す、程度では不十分ということです。

企業理念の“解釈”、事業の“社会的インパクト”、組織の“特徴”を知ることで、「なぜこの会社に惹かれるのか?」を自分の視点で語れるようになります。

※企業の採用ブログや社員インタビューも貴重な情報源です。

ステップ2:自分の経験と結びつける

次に、企業がやっていることと、自分の過去の経験・価値観とを“接続”します。

自分の経験と企業の文化や方針を言語化することで、志望動機はぐっと説得力を増します。

たとえば、営業職を志望する際、以下のように深掘りできます。

【接続例】
「前職では小さな企業を担当し、営業数字だけでなく顧客との関係構築に注力しました。この経験から、私は“目先の売上よりも相手の目線に立つ営業”を大切にしてきました。同様に『顧客の真の課題解決を最優先する』という企業独自の価値観があると知り、自分の価値観と強く重なりました」

このように、自分の経験と企業の文化や方針を“言語化”することで、志望動機はぐっと説得力を増します。

ステップ3:ストーリーとして語る

最後に、志望動機を“ストーリー”として伝えます。以下の構成を意識してみてください。

過去:経験から得た学びや、形成されたあなたの価値観
現在:企業への共感・魅力を感じた具体的な部分(ステップ1と2で深掘りした情報)
未来:具体的に何に挑戦し、どう貢献したいか(入社後に描く活躍のイメージ)

例(改善前)
「御社のマーケティング職を志望します。私は前職で広告運用を行っており、その経験を活かせると考えました」
例(改善後)
「広告代理店でSNS広告の運用を担当し、分析と改善のサイクルを通じて“小さい施策でも売上に大きく貢献できる”ことを体感しました(過去の経験と価値観)。この経験から“数字で成果を出すマーケティング”にやりがいを感じるようになりました。御社が昨年から注力されているD2Cブランド向けマーケティング支援は、まさに私が成長したい、そして貢献できる領域です(企業への共感)。具体的には◯◯のような施策を通じて売上に貢献していきたいと考えています(未来の貢献)」

このように、自分の過去→会社への共感→未来の貢献、とつなぐことで、志望動機は“自分だけの言葉”になります。

オリジナルの志望動機には“芯”がある

志望動機を作る際、つい「相手が求めているであろう正解」を探しがちですが、実はそれが「テンプレ化」の落とし穴です。

面接官は“上手な志望動機”よりも“自分の芯がある志望動機”に心を動かされます。

大切なのは、「自分はこうありたい」という未来像と、「そのためになぜこの会社を選ぶのか」という理由を一致させることです。

まとめ

志望動機は、「なにを言うか」よりも「どう考えてきたか」が伝わると強くなります。

テンプレート通りの無難な言葉では、面接官の心には届きません。

「過去の経験」「企業理解」「将来の展望」をつなぎ、自分の言葉で語る志望動機をつくりましょう。

そうすれば、きっと面接官にも「ああ、この人は本気でうちに来たいんだ」と伝わるはずです。

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