退職が決まると、引き継ぎや有給休暇の消化、転職準備などで忙しくなります。そのなかで意外と見落としやすいのが、会社から受け取る書類や、会社へ返却する物品の確認です。
必要な書類を受け取り忘れると、転職先での入社手続きや確定申告、失業保険の申請などに支障が出る可能性があります。また、返却漏れがあると、会社から返却を求められたり、退職後のやり取りが長引いたりすることがあります。
本記事では、退職時に会社から受け取るべきものと会社へ返却するものを一覧で整理し、それぞれの役割や注意点、万が一のトラブル時の対応方法について、チェックリストを交えて詳しく解説します。
退職時に会社から受け取るべきもの一覧

まずは、退職時に会社から受け取る主な書類を確認しましょう。
| 書類名 | 主な用途 |
| 離職票 | 失業保険(雇用保険の基本手当)の申請 |
| 源泉徴収票 | 転職先での年末調整、または自身での確定申告 |
| 雇用保険被保険者証 | 転職先での雇用保険加入手続き |
| 年金手帳・基礎年金番号通知書 | 転職先での厚生年金加入手続き、または国民年金への切り替え |
| 健康保険資格喪失証明書 | 国民健康保険への加入手続き(※必要な場合のみ) |
それぞれの書類の役割と、受け取る際の注意点は以下の通りです。
離職票
離職票は、雇用保険の失業給付(失業保険)を受給する際に必要な書類です。
退職後にハローワークで手続きを行う場合に使用します。
届く時期の目安:
職後2週間程度
注意点:
会社が退職者の雇用保険喪失手続きをハローワークで行った後に発行されるため、最終出社日にその場で受け取ることは原則できません。一般的には退職後に郵送で自宅に届きます。なお、退職後すぐに次の転職先へ入社する場合は原則として使用しませんが、将来的に必要になる可能性もあるため、発行を依頼しておくと安心です。
源泉徴収票
源泉徴収票は、退職した年の1月1日から退職日までに支払われた給与額や、徴収された所得税額などが記載された書類です。
届く時期の目安:
退職後3週間〜1ヶ月程度
注意点:
所得税法により、退職日以後1ヶ月以内の交付が義務付けられています。年内に別の会社へ転職する場合は、転職先で年末調整を行う際に提出を求められます。年内に再就職しない場合でも、翌年に自身で確定申告を行う際に必要となります。退職後に郵送されることが多いため、転居等で送付先住所に変更がある場合は、事前に会社へ伝えておきましょう。
雇用保険被保険者証
雇用保険被保険者証は、自身が雇用保険に加入していることを証明する書類です。
届く時期の目安:
最終出社日(または退職後の郵送)
注意点:
基本的には入社時に会社に提出し、会社が保管しているケースが多いです。転職先での入社手続きで提出を求められるため、退職時に手元へ戻ってくるか確認してください。もし紛失していることが発覚した場合でも、ハローワークで即日再発行が可能です。
年金手帳・基礎年金番号通知書
年金番号を確認するための書類です。会社が預かって保管している場合は、退職時に返却されます。
届く時期の目安:
最終出社日(または退職後の郵送)
注意点:
近年は年金手帳の新規発行が廃止され、「基礎年金番号通知書」へ移行しています。そのため、世代や入社時期によって保管している書類の形式が異なる場合があります。転職先での厚生年金手続きや、公的年金の切り替え手続きに必要となるため、受け取った後は大切に保管しましょう。また、現在はマイナンバーによる管理が進んでいるため、転職先で提出を求められない場合もあります。
健康保険資格喪失証明書
健康保険資格喪失証明書は、それまで加入していた会社の健康保険の資格を失ったことを証明する書類です。
届く時期の目安:
退職後1週間〜2週間程度
注意点:
この書類は法律上、必ず全員に自動発行されるものではありません。退職後にすぐに転職せず、自治体の国民健康保険に加入する場合や、家族の健康保険の扶養に入る場合に提出を求められます。必要になることが分かっている場合は、事前に人事や総務の担当者へ発行を依頼しておきましょう。
退職時に会社へ返却するもの一覧

次に、会社から貸与されており、退職時に返却する必要がある物品を確認しましょう。
| 返却物 | 具体例 |
| 健康保険証 | 本人分、および扶養家族分の健康保険証 |
| 社員証・入館証 | IDカード、社章、従業員証、セキュリティカード |
| パソコン・スマートフォン | 会社支給の端末、タブレット |
| 制服・作業着 | 貸与された衣類、事務服 |
| 名刺 | 自身の未使用名刺、および業務で交換した他社の名刺 |
| 鍵・カードキー | オフィス、デスク、ロッカーの鍵 |
| 業務資料・データ | 紙のファイル、マニュアル、USBメモリ、外付けHDD |
それぞれの物品の返却マナーと注意点は以下の通りです。
健康保険証
健康保険証は、退職日の翌日をもって失効(使用不可に)なります。
注意点:
一般的には退職日(最終出社日)に返却します。退職日当日に医療機関を受診する予定がある場合などは、後日郵送での返却を案内されることもあります。自分自身の保険証だけでなく、扶養家族に入れている分の保険証もすべて回収して返却する必要があるため、漏れがないか事前に家族へ確認しておきましょう。
社員証・入館証
会社施設への入退室管理や、従業員としての身分を証明するための重要な貸与品です。
注意点:
退職日(最終出社日)の業務終了後に返却するケースがほとんどです。社章やネームプレートなども含まれます。防犯やセキュリティの観点から非常に厳重な管理を求められる物品であるため、紛失には十分注意してください。
パソコン・スマートフォン
会社から貸与されたパソコンやスマートフォンは返却が必要です。
注意点:
端末本体だけでなく、充電器、ケーブル、マウス、専用ケースなどの付属品もすべて返却対象です。「個人で作成したデータだから」と自己判断で業務データを消去したり、初期化したりすると、引き継ぎに支障が出るだけでなく、会社の情報資産の破壊とみなされるリスクがあります。必ず上司や情報システム部門の指示に従ってデータ処理を行ってください。
制服・作業着
店舗や工場、オフィスなどで着用するために支給・貸与されていた衣類です。
注意点:
汚れを落とした状態で返却するのが一般的ですが、会社によっては「自社でまとめて専門業者に一括クリーニングで出す」などのルールを設けている場合もあるため、クリーニングの要否は会社ごとのルールを確認しましょう。
名刺
自分の名前と会社名が記載された名刺、および在職中に顧客や取引先から受け取った名刺です。
注意点:
会社の名義で支給された未使用の名刺は、会社の所有物となるため返却、あるいは指示に沿った廃棄が必要です。また、業務中に交換した他社の名刺(顧客情報)も会社の情報資産にあたるため、原則としてすべて会社に置いていくか、データ化している場合はそのアカウントを会社に引き渡す必要があります。
鍵・カードキー
オフィスやロッカーの鍵、セキュリティカードなども返却対象です。
紛失している場合は、早めに会社へ申告しましょう。
業務資料・データ
紙の資料だけでなく、USBメモリや外付けハードディスクなども返却対象となります。
個人のパソコンやクラウドストレージ(GoogleドライブやDropboxの個人アカウントなど)に業務データが残っている場合は、会社の指示に従って適切に対応しましょう。
もらい忘れ・返し忘れがあった場合はどうする?

どれだけ注意していても、退職時の手続きに漏れが生じてしまうことはあります。
万が一、受け取りや返却に漏れがあった場合は、速やかに会社へ連絡しましょう。
離職票や源泉徴収票が届かない場合
退職後、上記の目安期間(離職票は2週間、源泉徴収票は1ヶ月)が経過しても書類が自宅に届かない場合は、まず会社の給与計算や手続きを担当している人事・総務部門へ連絡を入れます。
「郵送手続き自体が遅れている」「退職届に記載した住所に誤り(漢字の間違いや転居先未反映など)があった」などの原因が考えられます。
返却物を持ち帰ってしまった場合
社員証や鍵、資料などを誤って持ち帰ってしまった場合は、できるだけ早く会社へ連絡しましょう。
郵送での返却に対応してもらえる場合もあります。
会社と連絡が取りづらい場合
退職後に担当者と連絡がつかない場合は、メールなど記録が残る方法で連絡することをおすすめします。
「いつ、どのような内容で依頼したか」の履歴を残しておくことで、後々のトラブル防止につながります。
もし、何度催促しても離職票などの法定書類が発行されない場合は、ハローワーク(公共職業安定所)や労働基準監督署に相談してください。
特に離職票の未発行については、ハローワークから会社へ直接、行政指導(発行の催促)を行ってもらうことが可能です。その際、退職した事実を証明できる書類(退職届の控え、雇用契約書、給与明細など)を持参すると手続きがスムーズに進みます。
退職時の抜け漏れ防止チェックリスト

退職前に以下の項目を確認しておきましょう。
会社から受け取るもの
[ ] 離職票の発行の有無を会社に確認した(または不要の旨を伝えた)
[ ] 源泉徴収票の発送予定時期と、送付先住所を確認した
[ ] 雇用保険被保険者証を受け取った(または郵送手配を確認した)
[ ] 年金手帳、または基礎年金番号通知書を受け取った
[ ] (必要な場合のみ)健康保険資格喪失証明書の発行を依頼した
会社へ返却するもの
[ ] 健康保険証(自分自身と、扶養家族の全員分)を準備・返却した
[ ] 社員証、入館証、社章、セキュリティカードを返却した
[ ] パソコン、スマートフォン、タブレットおよび各付属品を返却した
[ ] 制服や作業着をクリーニングし、返却の準備をした
[ ] 自身の未使用名刺を破棄または返却し、受領名刺を会社に置いてきた
[ ] デスク、ロッカー、オフィス等のすべての鍵を返却した
[ ] 紙の業務資料、マニュアル、USBメモリ等の記録媒体を返却した
[ ] 個人所有の端末やクラウドに保存した業務データについて、会社の指示に従って対応した
まとめ

退職時には、会社から受け取るべき書類と会社へ返却する物の両方を確認することが大切です。
特に、離職票や源泉徴収票は退職後の手続きで必要になることが多く、受け取り忘れには注意が必要です。一方で、健康保険証や社員証、会社貸与品などの返却漏れは会社とのトラブルにつながる可能性があります。
退職前にチェックリストを活用しながら確認を進め、手続きを円滑に終えられるよう準備しておきましょう。
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